この作品はいかがでしたか?
0
この作品はいかがでしたか?
0
一緒に下駄箱まで歩いている最中も、他のクラスの女子がチラチラと永山くんを見ている。
「あの人めっちゃかっこよくない!?」
「身長高すぎ、脚長すぎ!!」
隣を歩いている私はまるでみんなには見えてないくらい、永山くんのオーラが広がっていた。
「永山くん…みんなが見てるよ」
私が嫉妬心満載で彼に伝えた。
早くこの長い廊下を駆け抜けたかった。
彼だけは渡さない…
私の気持ちがもしかしたら伝わったのかもしれない。
「えぇー!?!何にも聞こえないよ!
俺なんか付いてるんかな…あははは!」
いや、天然?
やたらと声はでかいし、見かけによらずちょっとバカっぽい。
そんなギャップにも好きが溢れ出しそうなぐらい愛おしかった。
と、油断した時だった。
「あのぉ…永山くん!私、真原っていいます!根津川中の…
サッカーを見てファンになって…同じ高校だなんて嬉しすぎて作っちゃいました!これよければ食べてください!」
可愛らしい茶色の包み紙に、たくさんのクッキーが入っているのが見えた。
「あ、ありがとう」
あれ、なんかさっきよりテンション低い?
さっきまでの笑顔が消えた気がした。
何があった…?
私はついつい、場を和ませようとしてしまった。
「美味しそうじゃん!!クッキーかな?よかったね。」
嫉妬半分、すごいな〜って気持ちが半分で、私はそれ以外に感情がなかった。
あんなに笑顔だった永山くんが、ボソボソと口を開いた。
「あいつ、ジロジロ見てきて渡来さんの悪口言ってんの聞こえたんだよ。俺あーいうのまじ嫌い。」
急に真顔で何かと思ったら、私のことを援護してくれているようだった。
確かに何か言われているのはわかっていたんだけど、それ以上に永山くんがかっこよくて…
「そんなん気にしてないよ!!ありがとうね」
私は彼の隣に居られるだけで贅沢なんだと思った。いいの、少しでも近くにいられるだけで…
何もかも頑張れる気がするから。
私も彼のそういう存在になりたい。
それ以上は何も望まない。
家の黄色いチューリップに、改めて願いを込めた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!