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学校から出たところの道は、お花見の会場まで桜が続いている。
「わぁ〜!!綺麗だ!自転車と荷物俺が持つよ〜!
たくさん桜見なよ!!」
桜を見た途端元気を取り戻した永山くんは、桜を写メでたくさん撮りながら歩いていた。
その姿はかっこよくて可愛くて、大好きで…
胸がいっぱいだった。
「ごめん!ちょっと休憩しよ」
元気な永山くんはずっと歩いて行けちゃいそうだったけど、私はもうドキドキで死にそうだった。
桜の絨毯になっているぐらいピンクな芝生は、恋の色だった。
今日が初めて会った日なのにこんなに仲良くなれるなんて…
桜が運んでくれたパワーだったのかもしれない。
「俺はねー。親の影響で元々お花が好きだったんだけど黄色のチューリップだけは特別でさ。」
永山くんは少しおとなびた落ち着いた表情で私にいろんな話を教えてくれた。
チューリップが親の病気を治したと感じていること、
家の花が彼に元気を与えていること、
そして、サッカーが大好きなこと。
全てのお話が胸に沁みすぎて倒れるかと思うくらい尊かった。
「そういえば、渡来さんは!?なんで桜好きなの?」
興味津々な目で私をじっくり見ながら話を聞いてくれた。
私が4月生まれなこと、桜が満開になった日に生まれたこと、
そしてダンス部に入ったらサッカー部の応援に行けるねって話をしてお互い頑張ろうと桜の下で誓った。
「部活明日からなのウゼェな…俺サッカー好きだけどいざ部活ってなるとめんどくせぇんだわ!」
よっぽどサッカーがしたいんだろうな、って顔で嬉しそうにサッカーの話をしてくれた。
「てかダンス踊ってよ!俺を応援して!」
時に恥ずかしいことを言う永山くんだけど、そんなお茶目な部分もかわいくて仕方がなかった。
踊りは…しなかったけど。
ふと話し終えた後に沈黙が続いた。
桜がさわさわと風に揺らぐ音、そして私たちの呼吸。
何もかもが心地よかった。
ふと、桜の絨毯に寝っ転がりたくなった。
まだお花見会場まで距離もあって人目にはつかない場所だった。
寝てしまいたい…
私はバタン!と音を立てて寝っ転がった。
「ずるい!!俺も寝る!」
寝っ転がった瞬間、心地よくてすぐ眠ってしまった私は、永山くんがこんな至近距離で寝ていることに気づかなかった。
1時間半ぐらいが経って、起きた時。
彼は私の腕に被さるように横向きになって、幸せそうな顔で寝ていた。
この時間が止まって…ずっと続くといいのに。
欲張りな私は、桜にも願いを込めてしまった。
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