テラーノベル
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目が覚めると、天井がやけに白かった。
知らない天井。だけど、怖くなかった。
ふわりとした毛布の中に包まれて、息を吸い込むと、洗剤の匂いがした。
――ああ、そうだ。
昨夜、いるまの部屋に泊めてもらったんだ。
らんはゆっくりと身体を起こし、腕を見た。
腫れはまだ残っていたけど、痛みは少し引いていた。
薬を塗って、氷で冷やしてくれたのはいるまだった。
手慣れていない手つきだったけど、優しくて、乱暴さはひとつもなかった。
🎼📢「……起きたか?」
扉がノックされ、いるまが顔を出した。
🎼🌸「うん……。おはよう、いるま」
🎼📢「おーす、おはよ。……って、敬語じゃなくていいって言ったろ?」
どこか気恥ずかしそうに笑いながら、いるまは水の入ったコップを持ってきてくれた。
🎼📢「熱とかはなさそうだな。少しは休めた?」
🎼🌸「うん……すごく」
らんは自分でも驚いた。
眠れない夜がずっと続いていたのに、今朝は、自然と目が覚めた。
うるさく怒鳴る声も、物音ひとつない空間。
誰かに起こされることも、罵倒されることもない朝。
――こんな朝、初めてだった。
🎼🌸「……ありがとう」
そう呟いたら、いるまは少しだけ顔をしかめた。
🎼📢「……それ、言いすぎ。何回も言わなくていいってば」
🎼🌸「でも、言いたいんだ。……ありがとうって」
いるまの目が、一瞬だけやわらいだ。
だけどその後、少し真剣な顔になった。
🎼📢「……なあ、らん。俺、やっぱり気になるんだよ。
あの痣、ほんとに“ただのケガ”じゃねぇだろ?」
らんは、口を噤んだ。
言いたくないわけじゃない。でも、言ったら壊れそうだった。
弟たちとの時間も、自分の立場も、全部。
それでも――。
🎼🌸「……親に、殴られた」
掠れた声で、でも、はっきりと。
そう口にした瞬間、涙がひとすじ、落ちた。
そのとき、いるまは一歩も踏み出さず、黙って見守ってくれていた。
それが、らんにはとてもありがたかった。
🎼📢「言ってくれて、ありがとう。……俺、これからもちゃんと聞くから」
その一言に、また涙が出そうになって、らんはうつむいた。
コメント
1件
初コメ失礼 神回過ぎです✨ タメでいいすか?