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その後、カラオケでヤケクソになりながら歌った曲。半ば覚えていないが歌い終わったあと、急にクラッとする瞬間。死ぬときってこんな感じなのかな、なんてふと思う事がある。もっと苦しいのだろうか、辛いのだろうか、こんな未練たらたらのまま死んでたまるか!なんて考えて行動できる程俺は強くないわけで。まぁ結局抗ってもこの世界と時間は無情な訳で。
zm「はぁ…」
ため息が零れた。
syp「歌、上手ッスね」
zm「こんなの全然や。ほら、平均点より少し低……い……あれ?…なんでこんなに平均点高いん…?」
syp「俺は好きっすよ、特にたまにあるクソ先輩のための替え歌。」
kn「もう…wあれは笑うしかないわw」
zm「…最後くらい百点とれんかなぁー…」
kn「替え歌してる限り無理やと思うぞ…w」
zm「えー、それは嫌や」
syp「はぁ…。これから病院行くっていうのに、こんな所きて良かったんですか?」
zm「最後くらいいいの!」
zm「それに…」
syp「…」
静まりかえる部屋。正常になる心臓の辺りをキュッと掴む。
zm「俺は…病院に行かなくても…」
そこまで言って喉に言葉がひっかかる。言わなくちゃ、ここで言わないでどうするんだ。
zm「…」
kn「…無理しなくても……」
正直なところ、とても悔しい。俺が『こんな病気』に一生悩まされる事になるなんて。神様はいつだって信じる人しか救ってくれない。理不尽だなぁ…酷いなぁ…なんて頭の中では今やらなきゃいけないこと以外の関係ない言葉が連なる。
あぁ神様、信じてないし、この運命は気に食わない。でも…好きだ。
だって─────
kn「…そろそろお開きにするか。」
syp「あ………そう…ですね。」
zm「…」
空気を読んでから回ったコネシマの発言。俺はおかしくなりそうだった。でも、ここで言わなくて良かったのかもしれない。
zm「せやな。俺も腹減ったし。」
syp「…」
kn「いいやん!絶対ゾム今日ごちそうやって!」
zm「今日はおにーちゃんが奮発してくれるらしーからな。」
カラオケ帰りの分かれ道。まさかここがコネシマとの最後になるなんて少し前の俺は考えもしなかっただろう。
zm「それじゃ…」
kn「また明……なんでもない……」
ハッとした顔をして慌てて口を抑えるコネシマ。
zm「よくここで喧嘩したよなぁ…」
そんな話を持ちかければ、ふいっと後を向いて「そうだな。」と言って早歩きして行ってしまうコネシマ。
zm(バカ。そっちお前の帰り道じゃないやろ。)
二つ目の曲がり角、隠れるように入っていったコネシマにそう思いながらショッピに目を向ける。正直、涙は出なかった。もう子供のころに流しっぱなしで出尽くしたのかもしれない。苦い薬を飲んだように歪むショッピの顔には、あの時見た言葉じゃ表現仕切れない美しさを持ち合わせた瞳がはめ込まれていた。
コネシマ先輩はゾムに必死で俺に隠す素振りを見せなかった顔。
彼は泣いていた。
柄にもなく声を抑えて息を殺すように泣いていた。しかも二つ目の曲がり角のゾムさんから死角になる位置で。
syp(やめろ、やめろ…お前まで悲しむな…)
そう言ったか言ってないか、分からない言葉、思わず視線をずらせば、ゾムさんと目が合った。
顔は苦痛に歪んでいるも、目はなんの情すら秘めていない。こうやって見ると怖く、恐怖を感じさせるくらいに美しい瞳だった。
彼が一番辛いハズなのに、涙ひとつ零れる気配はなかった。
zm「…帰ろっか…」
syp「………えぇ。」
未だに浴衣姿の彼は、眉は八の字に曲げつつ、ニコッと微笑んだ。ゾムさんと俺を繋げたのはこの目なのに、今更恐怖を覚えるなんてどうかしている。
zm「…ショッピくんさ、俺、どうして死ぬと思う?」
止めていただきたい。彼の言葉、今のこの体じゃ一粒一粒受け取る事は出来ない。一音ずつ体に重しをかけられていくようで、足取りはどんどん遅くなる。
syp「……分かりません。」
zm「……そっか。」
zm「そうだよな…」
そう言って頭の後をポリポリかくゾムさん。勿体ないな、神様はこの人に価値を見いだせなかったのだろうか。だとするとかなり頭がいってしまっている。
syp「俺が…変わってあげられるなら…そうしたいんですけどね。」
zm「っwwその言葉、気持ちだけもらっとくな。」
そう言ったゾムさんは力なく笑っていた。
「また明日。」