テラーノベル
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寝たフリをしたつもりが本当に寝てしまい、気がつくと領地近くまで進んでいた。
あのあとも2人は色々な事を話していたようで着く頃にはユウリはウィリアムとだいぶ仲良くなっていた。
「おとーさま、このさかなはたべられるの?」
「ああ、市場で食べたが美味かった。今度お前にも食べさせてやろう」
「ありがとうございます!」
ユウリは初めての旅行やウィリアムとの話に終始興奮しっぱなしだった。
私も馬車でウィリアムがユウリを見ててくれたおかげであの後は酔うことなく領地へと到着した。
別宅の屋敷の前に立ち綺麗で真っ白の建物に目が点になる。
「その、いつも暮らす屋敷よりはこじんまりとしているが…中は綺麗でその…」
私が小ささに唖然としていると思ったのかウィリアムが言い訳を始めた。
私は話を遮るようにウィリアムの手を両手で掴んだ。
「凄く素敵です! 真っ白な建物が海に映えてとても綺麗、早く中に入りましょう!」
「ああ」
ウィリアムの腕に手を回しユウリの手を取って3人で屋敷の中へと向かう。
すると門の前で数人の使用人が待ち構えていた。
「お帰りなさいませご主人様」
声を揃えて挨拶をしてくる。
「皆、滞在中はよろしく」
ウィリアムが声をかけると少しざわめきながらも皆お辞儀をしていた。
「わぁ部屋の中も素敵ですね!」
眺めが1番いい部屋に案内されるとそこは窓一面にオーシャンビューが広がる部屋だった。
なんか雑誌で特集でも組まれそうな部屋に気分が上がる。
こんな部屋に1生に1度でいいから泊まってみたいと思っていた。
それが死んでから叶うことになるとは…
テラスに出ると海の音が聞こえてきた。
優里亜と見たかったな…
今はいないあの子を思い涙が出そうになりながら海を見つめる。
あの子に1度も海を見せてあげられなかった。
するとスルッと手を握られる。
見るとユウリが心配そうな顔で私を見あげながら手を繋いでいた。
「おかーさま、かなしいの?」
「ううん、なんで?」
私はユウリに微笑んだ。
「なんか…なきそうにみえたの。だいじょーぶ?」
私は膝を着くとユウリをギュッと抱きしめた。
優里亜には見せてあげられなかったけど、今このユウリには見せてあげられた。
「ユウリと一緒に海が見れて嬉しくて、綺麗だね」
「うん」
ユウリと並んで海を見つめるとウィリアムが隣にたった。
「もっと早く連れてきてあげれば良かった。すまない」
謝るウィリアムに私は反対の手でウィリアムの手を握る。
「今こうして3人で見れているじゃないですか。私達はここからはじめましょう」
ウィリアムとユウリに笑いかけると2人とも強く手を握り返してくれた。
「ん~美味しい!」
3人での夕食には豪華な海の幸が並んでいる。
さすがにお刺身はないようだが、海老や蟹など美しく盛られた料理に手が止まらない。
しばらくすると新しい料理が運ばれてくる。
「こちらは蛸のフリッターです」
蛸なんて久しぶりに食べる!
さすがにたこ焼きなんて無いわよね。
私は運ばれた料理に手を伸ばしてみた。
柔らかく仕上げられた蛸だが難なくかみ切れるように下処理されていてとても美味しい!
「んー!これも美味しいですね」
私は久しぶりの海鮮にテンションが上がっていてウィリアムとユウリの様子に目が向いてなかった。
ウィリアムを見ると唖然として固まっている。
それはメイド達も同じようで青い顔をしていた。
「おい、これを出したものを連れてこい!」
するとウィリアムが突然怒り出してバンッとフォークをテーブルに置いた。
大きな音に数人のメイドが息を飲むのがわかった。
しかしウィリアムがなぜ怒っているのかわからない私は1人唖然としていた。
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