テラーノベル
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私はいつも何百人もの人に見られて生きている。
私が生まれたのは今から約100年前ほどだったはずだ。
作られて、保管されて、今まで残っている。今は美術館や博物館に展示されている。
私は感情をもてない。ただのモノ。
だけど、このごろ、たった1人の見に来た青年の顔が頭から離れない。
その人は私をまじまじと見て出てくる感想はとても、綺麗だ。と、普通の人と同じ感想。けれど、心から綺麗だと思っているように感じた。
なんだろう、この胸の高鳴りは、心なんてないはずなのに、私はただの展示物なのに。
50年ほど前にもこのようなことがあったはずだ。
だけど数十年後には来なくなってしまった。
今回もそうだろう。
相手は人間、私は展示物なのだから。
私の思うことなど分かるわけがないじゃないか、
あの人はいつも飽きずに私を見に来る。
そんな平和な日常も束の間の一時。
世界は混沌に包まれた。
人と人とが争い、空から来るものと人との争いが始まった。
人と人とが争っても何もならないのに、空から来るものと争っても何も起こらないのに。
なぜ人間たちは学ばないの?
展示物には分からない。
久しぶりにあの青年が私を見に来てくれた。嬉しい。
あれ、なぜか布がかぶせられた。何も見えない、青年は?私をどこに行かせるの?せっかく気になる人がやっとできたのに。
それから車で何処かに連れて行かれた。
やっと車が止まると、私は何処かに飾られた気がする。
布が外され、目に映った光景は青年の姿だった。
それにここは青年の家らしきところ。
私はこの青年に買われたらしい。
嬉しい、ずっとこの青年のところに行きたいと思っていた、ここで青年の生涯を見ていたい。
あなたが話せなくなっても、あなたが私を見なくなっても。飾ってくれるだけで嬉しいの。
人間は行きても100年ほど、いつかは土に帰るときが来る。
でも、あなたはずっと、1000年後でも生きていてほしい。
それか、あなたと一緒に私を焼いてほしい。
それが、私の1000年続くであろう大きな願い。
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