テラーノベル
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体育館の裏手、文化祭準備でごった返す校舎を少し離れた場所。
休憩のために腰掛けていたすちの隣に、みことがふわりと現れた。
👑「すちくんも休憩?」
🍵「うん、ちょっと描きすぎて目がしんどくなっちゃって … 」
そう言って目元を押さえる彼に、みことは小さく笑った。
👑「美術部って大変やね。ずっと細かい作業だし」
🍵「陸部もでしょ。走ってばかりで、体力持つのかなって思う」
👑「ふふっ、今日はお休みだから大丈夫。
… でも、ちょっと暇だったから来ちゃった」
みことはそう言って、すちの横に腰を下ろす。
風が吹いて、彼女の髪がふわりと揺れた。
その自然体の仕草に、すちは一瞬だけ視線を奪われる。
🍵「 … 相変わらずマイペースだね、みこちゃんは」
👑「え? そうかなぁ」
首をかしげるみことの表情は柔らかく、掴みどころがない。
だけど不思議と居心地がよくて、すちは気づけば口を開いていた。
🍵「みこちゃんがいると、空気が和らぐ。部のみんなもそう思ってると思うよ」
👑「 … ほぇ?」
思わず瞬きをするみこと。
次の瞬間、頬がほんのり赤く染まった。
👑「そ、そんなこと言う人、すちくんくらいだよ」
🍵「 … 本当のことを言っただけだよ」
すちはゆったりとした声で言って、ベンチの背もたれに軽く体を預けた。
みことは小さく笑って、靴先で砂利をこつんと蹴る。
👑「すちくんってさ、なんか … 安心するんよね」
🍵「安心 … ?」
すちのまなざしが、思わず彼女に向けられる。
👑「うん。話してると落ち着くし、気を使わなくていい感じ。私は好きやで」
その言葉に、すちの胸が不意に熱を帯びた。
彼の手に握られていたスケッチブックの端が、少しだけ強く折れる。
🍵「 … そんなふうに言われたら、悪い気はしないなぁ」
ゆったりとした笑みを浮かべながらも、心臓はいつになく早く跳ねていた。
👑「だって本当のことやもん、笑」
みことはあっけらかんと笑い、視線を空に向ける。
その横顔は柔らかく、夕陽に照らされてきらきらと輝いている。
すちはしばし見惚れ__そして慌てて視線を逸らした。
🍵「 … ずるいね、みこちゃんは」
👑「え? なにが?」
小首を傾げるみことに、すちはただ「なんでもないよ」と穏やかに微笑むしかなかった。
けれど胸の奥では、彼女の何気ない言葉が、静かに甘く響き続けていた。
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