テラーノベル
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亮平💚『翔太‥ショウタ』
翔太💙『ンンンッ頭痛い…』
タクシーの車内、ずっと俺の膝の上で寝ていた翔太は、寝ぼけているのかまだ酔いが覚めないのか、俺に起こされると甘ったるい声で首にしがみ付くとキスをせがんだ。ちょうどマンションの前に着き停車したところだ。
亮平💚『翔太着いたよ降りて…やめなさいコラ』
首筋に舌を這わす翔太を無理やり押し出して車から降ろすと〝すいません酔ったらキス魔になるんです〟なんて適当な事を言って取り繕うと足早にエントランスホールへ向かった。
翔太は馬鹿みたいに俺の部屋のインターホンを押している〝亮平く〜んいませんか〜〟腕を掴んでそのままエレベーターに乗せる。面倒くさい奴だな。
翔太💙『リョウくんキスして』
亮平💚『やめなさい、お部屋すぐだからちょっと我慢して』
嬉しいより面倒くさいが勝つな。疲れた体に酔っ払い翔太の介抱は堪える。今は翔太の可愛いお尻ですらイライラするし先程から腕に纏わりつき歩きにくいったらない。エレベーターが開くと翔太を抱っこして自宅まで向かった。
翔太💙『キャァっ////お姫様みたい///』
亮平💚『うるさいよ!静かにしなさい』
ようやく部屋に入るとソファーに座らせて水を差し出す〝頭冷やしなさい〟翔太は首を傾げながら水を飲み干すと〝疲れたぁ〜〟と言ってソファーに横になった。きっと今俺は酷い顔をしているだろう。
無言のまま脱衣場へ向かいシャワーを浴びる。大きく溜息をつくと脱衣場から控えめな小さな声で俺の名前を呼んでいる。お風呂の戸を開けるとリビングから顔を覗かせた翔太が〝怒ってるの?〟と言って不安げな顔をしていた。やっと酔いが覚めたようだ。
亮平💚『怒ってる』
そう言ってお風呂の戸を閉めた。急いで全身を洗って脱衣場に出ると膝を抱えて小さくなった翔太がウトウトと船を漕いでいた。
亮平💚『何してるのよ…はぁ翔太!』
俺はお母さんかよ…いちいち手のかかる子だな。
翔太💙『んっはっ亮平!ごめんなさい俺の事嫌いにならないでぇ』
今度は何だよ…〝ねぇ俺疲れてるから寝るよ翔太も早くお風呂入りなさい〟口を尖らせた翔太は立ち上がりおれに突進してくると腹部に猫パンチを繰り出した。それなりに痛いし怒りはMAXを迎えた。
亮平💚『いい加減にしなさい!翔太は佐久間とデートで楽しかったんだろうけど、俺は仕事で疲れた上に康二のことで・・・あぁもういい』
思い出したくもない。30過ぎたいい大人同士がくだらない事で喧嘩になるのは御免だ。嫉妬したり束縛したり、互いのためにならない事で齷齪してる。2人とももっと自由に付き合うべきだ。
今度は背中に激痛が走り、小動物が突進してきた事が分かった。
翔太💙『夜イチャイチャするって言った嘘つき』
お腹に回された手を握る。白くて小さな手がアルコールのせいか、いつもより温かい。〝俺の話聞いてる?疲れたの〟ちょこちょこと俺の前に周り込んだ翔太は上目遣いで俺を見ると〝俺って癒し効果あるよ?〟思わず翔太の頰に手を伸ばし撫でる〝早く寝たいんだけど〟は可愛い翔太に免じて言わないでおく。
亮平💚『他にも翔太と居ると良い事ある?』
眼をうるうるとさせてにっこり笑うと、俺に手招きして屈ませると、耳元でコッソリと〝気持ちイイ事してあげる〟翔太にしては完璧な返答にすっかり疲れも吹き飛ぶ。
亮平💚『それは楽しみ。じゃぁお風呂入っといでベットで待ってるね』
〝うん〟と言った時には既にズボンを脱いでいる。ほんと子供みたいだ。歯磨きを済ませてベットに横になる。疲れた体が沈み込んでいく。康二の言葉一つ一つを思い出していた。自信がないだの焦ってるだの…翔太が満更でもないだなんて…考えてみれば長い片思いの末にようやく翔太と付き合えたんだ。自信がある筈はない。
亮平💚『絶賛〝愛〟を育み中だボケ!』
うん、このくらい康二に言うべきだった。
翔太💙『・・・ お前独り言キモいゾ』
寝室に上裸で現れた翔太は〝キモ〜い〟とおちゃらけていて思わず〝お前のせいだよ〟と重低音を響かせると頰を赤らめベットにダイブしてきて頰に擦り寄ると俺の上に跨った。
翔太💙『亮平カッコイイ///いい声…愛育ってますか?』
亮平💚『可愛い過ぎでしょ』
翔太は顰めっ面をすると〝答えになってない〟と言って腰のあたりをくすぐってきた〝やめてよくすぐったいでしょ〟と言うとクスクス笑って楽しそうだ〝ちゃんと答えて〟大真面目に答える。溜まっていたものを吐き出すように言ったらいけないと分かっていても自分でも止められなかった・・・
亮平💚『翔太次第でしょ?佐久間にフラフラしてる。好きを思い出した?いつまでも佐久間のネックレス付けちゃって俺がどんな気持ちでいるか無神経すぎるよ』
翔太は無意識だったのだろう。首筋で揺れるネックレスに驚いたように手を翳すと俯いて肩を窄めて分かりやすく落ち込んでいる。スルスルと俺の上から降りてベットの上に正座している。
亮平💚『ごめんキツイ言い方して。選ぶ権利は翔太にあるのに』
翔太💙『どう言う意味?行きたきゃ佐久間のとこ行けとでも言いたいのかよ!』
亮平💚『そんな事言って…』
翔太💙『同じ事でしょ‥同じだよ俺にはそう聞こえた』
好きだから嫉妬する。好きだから束縛したくなる。相手を理解しようとすれば心が離れたと勘違いされる。折角良い雰囲気だったのに俺恋愛に不向きだな…
翔太 side
亮平は肩を落として長いまつ毛を伏せると膝に握られた拳の上にポタポタと涙を落とした。
傷つけちゃった…ずっと俺の事守ってくれてたのに亮平を悲しませる事ばかりしてるのは俺なのに、言葉で傷付けた。
翔太💙『リョウ…』
亮平の肩を触ると払い除けられた。目の前の亮平がどんどん遠ざかっていく。近づけば近づく程皆んな俺から離れていく。どうすれば分かって貰えるんだろう?亮平が1番だって…
翔太📲『あっ佐久間、俺もう2人きりでは会わないから。色々相談乗ってくれて遊んでくれてありがとう。亮平の事好きなの。だからもう2人では会わない。じゃぁね』
亮平は顔を上げて驚いた顔をしている。涙は流したまま息を飲んでいる。
翔太📲『康二、俺亮平の事大好き!だから諦めて下さい。お前とヤッタかなんて覚えてねぇけど…亮平とのエッチは全部覚えてるゾ!分かったら諦めてじゃぁな!』
亮平の目からポロポロ涙が溢れている。
翔太💙『…ごめんね、いっぱい泣いてたんでしょ?亮平の心ずっと泣いてた?』
亮平は何も言わずに俺にしがみ付いて肩に顎を乗せると静かに泣いていた。相当に悩ませていたんだなと反省する。背中をトントンとリズムよく叩くと、いつの間にか亮平は規則正しい呼吸音を響かせて眠ってしまった。相当に疲れていたみたいだ。
ゆっくりと後ろに身体を倒して布団をかけてあげた。何だか隣に寝るのは気が引けて亮平の部屋の電気を消すと、自分の部屋のベットに座った。
佐久間のネックレスを外してテーブルに置き、シャツを羽織るとベットに横になった。
マネージャーからメンバー宛にメールが送られてきている事に気づく。ソロ曲の出来上がりを知らせるメールだ。添付されていたファイルを開く。それぞれのソロ曲が添付されていた。〝MVの視聴会をするから各々聞いておくように〟とのお達しだった。
そう言えば亮平のだけ聞いてないな…
タイトル〝いっそ嫌いになれたら〟頭のいい亮平らしく小難しい言葉で意味深く歌詞を書いているものとばかり思っていた。
ノートに綴られていた片想いの苦しい胸の内を歌詞にしたかのようなその曲は俺の心を鷲掴みにした。
🎵言葉にできないよ
ノートのタイトルになっていた〝言葉にできない想いを〟
🎵きみの笑顔の中にいる 誰かにぼくがなりたい
いつかの亮平の言葉〝笑顔の翔太が見たい翔太の瞳にも俺の笑ってる姿が写っているとイイな〟
亮平は頭が硬くて恋愛はきっと不器用。そんな亮平が丁寧に書き記したノートには俺への大好きが溢れていて、それを元に作られたであろう歌詞の一つひとつが俺に宛てられたラブレターのように心に響いた。
亮平の部屋を覗くとぐっすりと眠っている。こっそり亮平の隣に寝転んだ。
長い指に自分の小さな手を絡ませた。
明日朝起きたらいっぱい大好きを伝えよう。
俺の真ん中には亮平がいるよってちゃんと伝えたい・・・
コメント
14件
歌詞のくだりをなかなかstoryに落とし込めなくて無理やり感がすごい😅
喧嘩しちゃうかと思った💦よかったーーー💦💦💦
阿部ちゃんブーム💚私もきてます💚💙