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――今日の結婚披露宴のために、愛美は二通の手紙を用意していた。一通は中学校卒業まで家族同然に育ててくれた〈わかば園〉の園長をはじめとする先生たちへ。そしてもう一通は、〝あしながおじさん〟としてずっと公私ともに愛美を支え続けてくれた最愛の人・純也さんへ。
ウェディングケーキ入刀、キャンドルサービス、祝電披露、参列者による余興などプログラムは進み、披露宴がクライマックスへ差し掛かった頃――。
『――それでは、最後のプログラムとなります。新婦・愛美様によります手紙の朗読でございます。このプログラムは愛美様のたっての希望で行われるものでございます。――では、新婦・愛美様、お願いします』
「愛美ちゃん、行こうか」
「うん」
二通の封筒を手に、純也さんと一緒に高砂席を立った愛美はスタンドマイクの前に立ち、聡美園長を呼んだ。
『今日はわたしたちの結婚披露宴の席で、このような機会を与えて下さってありがとうございます。この披露宴は、わたしがこれまでお世話になったみなさんに感謝の気持ちを伝えられる場だと考え、今日は二通の手紙を書いてきました。今からここで読ませて頂きます。――まず、一通目』
愛美はピンク色の封筒を開け、中の便箋を開いた。
『【拝啓、児童養護施設〈わかば園〉の若葉聡美園長さま、そして職員のみなさま。
二歳のころに両親を事故で亡くし、親戚にも恵まれず、天涯孤独だったわたしを中学を卒業するまで育てて下さって、本当にありがとうございました。
あの施設で過ごした約十四年間は、今となってはかけがえのない思い出です。大勢の兄弟・姉妹たちと一緒にご飯を食べたり、一緒に出かけたり、遊んだり、笑ったり泣いたり。家族がいる子たちにとっては何てことのない平凡な日常が、どれひとつ取ってもキラキラ輝く貴重な出来事でした。
施設で暮らしているというだけで、学校で陰口を叩かれて悔しい思いをしたことも何度もありました。みんなの見えないところでひっそりと泣いていたこともありました。でも、先生たちの優しさや兄弟たちの元気さに触れて癒され、イヤなことや悲しいことは全部忘れてしまうことができました。本当に、あの施設にいてよかったなぁと、感謝の気持ちでいっぱいです。
〈わかば園〉は、本当に居心地がよくて最高の施設でした。
中学三年生の頃には、卒業後の進路に悩むわたしに救いの手を差し伸べて下さいましたね。
本当は県内の公立高校にしか進めなかったのに、県外、もしくは私立の高校に進みたいと言ったのは、今にして思えばわたしのわがままでした。でも、園長先生はそのわがままを聞き入れて下さり、ここにいる純也さんとわたしを引き合わせて下さいました。園長先生はわたしたちの恋のキューピッドです。そのことも、すごく感謝しています。
コメント
1件
まりにもエモすぎるよ〜!!😭💕💕 愛美ちゃんがわかば園の先生たちに宛てた手紙、一字一句が涙腺崩壊レベル…。辛かった思い出も「かけがえのない思い出」に変えられる強さ、本当に尊い。園長先生が恋のキューピッドってところで思わず「きゃあ♡」って叫んじゃった(笑)!!愛美ちゃんの感謝がまっすぐ届く、心あたたまる名シーンでした…✨ 続きもガチで楽しみにしてます!!
#純愛
からむーちょ😝💥💚
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