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#恋愛
十色
904
結愛
23
園長先生がわたしに〝あしながおじさん〟――、つまり彼の援助で横浜にある全寮制の女子校へ進めるという話をして下さったあの夜から、わたしの運命は大きく変わりました。そのおかげで、今の小説家・相川愛美がここにいます。そして今日、純也さんとこうして結婚することができました。
園長先生が両親の元恩師で、二人の死の真相を知っていたことには驚きました。そして、両親が亡くなる二日前に、園長先生にわたしを預けていたということにもビックリしました。
*かつての教え子だった二人と、無言の再会をすることになってしまった園長先生のお気持ちを思うと、わたしも胸が痛みました。まさか、あんな形で再会することになるなんて予想もしていなかったことでしょう。】*』……
ここまで読んだ時、愛美も純也さんも、聡美園長も、そしてこのバンケットルームにいる人たちみんなが涙を流していた。愛美に至っては、せっかくキレイにメイクしてもらった顔がもうグチャグチャになっている。
「……愛美ちゃん、大丈夫?」
「うん、大丈夫」
純也さんが優しく背中をさすりながら、声をかけてくれた。
『……すみません、ちょっと不謹慎な内容ですが、続きから読ませて頂きます。
【――でも、園長先生は最終的にわたしを施設で引き取って下さいました。
それがわたしを親戚のネグレクトから救うためだったと分かった時、わたしは園長先生に心から感謝しました。もしも園長先生に巡り会えていなかったら、わたしという人間はここにいなかったかもしれません。
施設を巣立った日、わたしは施設の|弟妹《きょうだい》たちとの別れを惜しみ、新しい生活への不安からタクシーの中で涙を流していました。
でも、高校生活ではすぐにお友だちができて、不安に思うことはありませんでした。そしてわたしは思いました。「やっぱり、〈わかば園〉はわたしの実家みたいなものなんだ」と。
今日はわたしたちの結婚式のために、山梨から遠路はるばるお越し下さって本当にありがとうございます。これからも、わたしたち二人のこれからの人生を温かく見守っていて下されば幸いです。園の子供たちによろしくお伝え下さい。また、夫婦で遊びに行きます。かしこ
辺唐院(旧姓・相川)愛美】
……以上です。ありがとうございました!』
一通目の手紙を最後まで読み終えた愛美を、純也さんや聡美園長をはじめとする会場内の全員からの温かな拍手が包んだ。
コメント
1件
うわあ…もう、冒頭から涙が止まらなかったです。愛美さんが手紙で「あしながおじさん」の話を打ち明けるところ、そして園長先生が両親の恩師で真相を知っていた伏線、ここで美しく回収されるんですね。施設を「実家」と呼べる場所に変えてくれた園長先生への感謝がひしひしと伝わってきて、胸が熱くなりました。純也さんが背中をさする優しさも素敵で、お二人の新しい門出に心から祝福を贈りたくなりました。本当に素晴らしいエピソードをありがとうございます。