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「やあ、久しぶりだね、道満」
「晴明…」
2人の間に見えない火花が散っていた
「うっっっっ…」
「!飯綱くん!」
「晴明…?どう、ま…さ…」
「飯綱…」
頭を殴られた衝撃で気を失っていた飯綱だったが、立て続けに鳴り響いた発砲音によって目が覚めたのだろう。しかし、まだ意識がはっきりしないのか、かなり辿々しい口調になっていた
「な、にが…」
「動けるか、飯綱 」
「…は、い」
「動かないでくれるかな。でないと…」
「え、ちょっと晴兄!何してんのさ?!」
「君を撃たなければならなくなる」
体を起こした飯綱の頭に、銃を突きつける晴明。晴明は、兄らしからぬ行動に困惑していた
「随分卑劣なことしやがるようになりやがって…」
「ねえ、道満。話をしよう」
「話…?お前に話すことなどない…!」
「道満!話を聞けって!」
「お前に何がわかる?!何もわからねえだろ?!お前はいつも、俺の先にいる!!!どれだけ、…それが、俺にとってどれほどの屈辱か分からねえだろ!!!!!!!!!!」
「それでっっっ…!それで君はこの子…飯綱くんまで見捨てると…?」
「俺はっっっっ…俺は、お前に勝つためならっ…どんな犠牲でも払ってやる!たとえっっっっ…!例え、俺の命を投げ打ってでも…飯綱を、…っっっ見捨ててでもな…!!! 」
道満の慟哭は、意識がはっきりしない飯綱にも、はっきり聞こえた。 ぼんやりした頭で、飯綱は夢に見た景色と重ねていた。やはり、今日のことらしい
「そうかい…なら、僕たちが、君の傘下に入るってのはどうだい?」
「は…」
「ふざけてるの?」
「やあ、久しぶり、朱雀」
「晴明…に、飯綱…!」
「飯綱くん!」
遅れてやってきたのは、朱雀と暗達であった。道満が突然いなくなったがために、朱雀が暗達を率いてきた…のだが。いつもそういう指示は全て道満がやってきたために、朱雀には勝手が分からなかった。故にゴタゴタし、ここまで遅くなった。まさか、ゴタついたがためにこんな事に発展していたとは
「お前は…!どれだけ俺をコケにすれば気が済むんだ?!」
「そうか…君がこれを受け入れないなら、僕は彼と一緒に死ななきゃいけないんだけど」
「は…?」
「君の性格はわかってるつもりだよ。…君、僕と飯綱くん、2人がいなくなったらどうやって生きていくんだい? 」
「…」
「あっちゃん…」
仮面で表情が隠され、表情が読めない
「飯綱、お前…俺が死ねっていったら、素直に死んでくれるか?」
「道満…?!」「え、あっちゃん…?」「ボス?!」
仮面の下で微笑みながら、道満はいった
「…そう、ですね…それだけの…お、んも…ありっ…ますし…」
「…」
息も絶え絶えに言う飯綱を、その場にいた全員が黙って見ていた
「ただ…こんご、あんたが、このけつだん、を…こ、かい…しなが、ら…いき、るなら…」
不適な笑みを浮かべながら、飯綱はそう、言い放った
「…そうですか、やはり君を雇ってよかった」
「ぅっっっ…」
「晴明。同盟、と言う形でどうです?それなら、こんな大事にしなくても、あなたに挑めますし」
「道満…」
ただ、意外だった。絶対に、意見は曲げないと思っていたのに
「だから」
道満は、自らの仮面に手をかけ、晴明の前までいくと、仮面をとった
「だから…飯綱を返してください」
その顔は、ただの父親の顔にしか見えなかった
「…うん。聞いたね?撤退だ」
晴明がいうと、わらわらと構成員達は撤退し始めた
「明!!治療!!!!!!!!!!!!!」
「はい」
「た、たかはしはいや…!」
「この期に及んで…」
全く治らない明嫌いに、呆れるしかない朱雀だった
「え〜前の約束は♡?」
「…かた、とわきばらうたれました…あたまもだいぶいたい…です」
「は〜い♡」
流石に、今回は解体しないらしい。…後で、頑張る事になるだろうが
「飯綱くん…」
「情けねえ顔…」
自分を見る晴明と凛太郎の顔は、見事に眉が8の字に下り、晴明に至っては半べそ状態だった
「飯綱」
「はい…?」
「怒ってるか」
「別に…そういう関係でしょ?」
「…」
今は仮面をとっているため、悲しそうな顔が丸見えである
「えっと…?」
「あっちゃんwwwww」
「え…朱雀さん…説明…」
「いや〜ね?あっちゃん♡」
「黙れクソ害鳥が…!」
「あっちゃん、お父さん見たいね〜ぷぷぷ〜」
「は…」
「今日という今日は駆除してやる!」
「え、どういう…いっっった」
「あ、ごめん」
明は今、銃弾を抜いているのだ。ここで…
「ん〜頑丈だね」
正直、2発銃弾ぶち込まれて、頭までぶっ叩かれているとは思えない受け答えである
「誰かさんのおかげでな…!」
飯綱のこのイかれた神経にした張本人であることに、明は気づいていない。ちなみに、暗は飯綱が心配で明の近くにいるが、割と顔が真っ青である
「ま、とりあえず…入院♡」
「え…」
「まー誰か1人くらい…って思ってたからさ、準備はできてんの。でも、君、2発ぶち込まれて頭殴られたんだよ?ちゃんと安静にしなきゃ〜」
ここで銃弾抜いたやつ誰だよ
「ま〜ほら、行くよ〜」
「待って、お前は無理」
「なんで〜?」
飯綱を抱えて運ぼうとする明にまったをかける飯綱。悪いが、全くもって今の状態の自分を何もせず運んでもらえるとは思っていないのだ
「俺ならいいか?」
「え…」
名乗りを挙げたのは道満だった。突然の申し出に、困惑する一同。そして、腹を抱えながら笑い転げ、道満に踏みつけられている朱雀
「…いやか」
「いえ…では、お言葉に甘えて」
「wwwwwwwwwwwwwww」
「っっテメエはいつまで笑ってんだよ?!!!」
全くもって笑うのをやめない朱雀を、今度は踏みつけ出した
「いや〜え、だってさ〜wwwwwww」
「マジでなんなんだ、ああ?!」
「いや〜なんかお兄さん感激」
「は?」
「あっちゃん、怖いよ」
胸ぐらを掴み上げ、眉間に銃を突きつける道満
「いやさ…飯綱拾った頃、覚えてる?勉強したくない飯綱とやらせたいあっちゃんの大合唱!まじ俺聞いてて何やってんだろって思った〜あ、思い出したらwwww笑えてきたwwwww 」
「ああ…」
「それに、あっちゃんもすっかり丸くなっちゃって〜」
「確かにね」
「お、分かる、晴明くん?!」
「前は爪剥き出しの猫みたいだったのに」
「は?」
「ね〜今は母猫って感じ?」
「…」
「ちっっ…!」
「あの…」
「なんだ、暗」
今にも道満vs晴明が始まろうかと言うところで、暗が待ったをかけた
「その…飯綱くんが…」
そこには、寝ている飯綱がいた。どうりで静かだと思った
「わー飯綱くん?!起きて!!!寝たら死んじゃう!!!!!!!!!!!!!」
「ほんまその怪我で寝るとか頭イっとるやろ!ほら、はようおきいい!!!!!!」
飯綱をたたきまくる2人
「何してんだよ…!」
「何してんのかはこっちのセリフやねん!銃突きつける暇あるなら起こすの手伝えや!!」
暗は、たたきまくる2人に対して銃を突きつけていたが、起こす方がいいのか、と悩んでいたりもする。暗は、医療の知識はそこまでないのだ
「ん〜大丈夫🙆」
『何を持って?!』
事もなきようにあっけらかんと言う明に、混乱が隠せない一同
「秦中くんだし」
『ああ〜』「え?」
納得する道満達。1人全く納得できない晴明
「道満…一体なにさせたのさ…」
「勉強」
「ええ…絶対それだけじゃないだろ…」
「大丈夫ですよ。コイツは死んでも多分死なないんで」
「凛太郎…どう意味?」
「馬鹿は死んだ事に気づかんのです」
「…」
「何言ってんだと思うと思いますけど、コイツは底抜けのバカなんです。恐らく馬鹿のギネスや」
「酷い言いよう…」
果たして凛太郎は飯綱と上手くやっているのか心配でしかない晴明だった
「…晴は?」
「飯綱くん、死んでも多分秒で生まれ変わってくるんじゃないかな」
「晴…」
一体、君は晴達の前で何をしたのだろう。荊棘が拐われた時の話なら知っているが…ここまで言わせるだろうか
「(荊棘…ちょっと応援できる自信ないなぁ…)」
完璧超人・安倍晴明。彼は恐らく、人生の中で1番の壁にぶちあたろうとしている。もちろん、荊棘の想いも察している晴明。しかし、この子は恐らくかなり手強い。気づかないだろうし、多分道満と朱雀と育ったせいで絶対変なとこ拗らせてるタイプだ。気づいているからこそ、そういう年頃っぽい事はほぼさせてあげられていなかったので、応援はしてあげたい。だが、失恋する可能性もある。というか、絶対飯綱は断る。そして、荊棘も腹を決めてしまえば自分からも行くだろう。限りなく成就する可能性の低い恋だろう
「(…親がわり問い詰めるかぁ)」
1人、全く別の覚悟を決める晴明だった
「…俺は?」 by飯綱
「あいつさらっと俺のこと馬鹿にしましたよね」 by道満
「拗らせてんのあっちゃんだけだよ」 by朱雀
「ん…ここは…」
「飯綱」
「道満さん…すみません、全く記憶ないんですけど」
「寝てただけだ」
「はあ…」
「悪いとこは?」
「特には…」
「りんご、食えるか」
「あ〜はい。お願いします」
シャキシャキ
道満は、りんごを慣れた手つきで切っていく。そして、出来上がったのは
「…うさぎ…」
「イタチにするか?」
「いえ…そういう意味ではなく…」
ここまで包丁できるんだから普段から料理やれば良いのに。その言葉は、りんごと共に飲み込んだ
「あ、美味しそうなの食べてる!僕にも一個ちょうだい」
そういって、飯綱の皿からリンゴを食べた
「お前…まともな登場しろよ…」
「あー!あっちゃんが僕に銃突きつけない!!」
「なんだ、突きつけて欲しいのか?」
「ノーセンキュー」
珍しく、道満は何も言い返さなかったし、行動も起こさなかった。長い沈黙が、3人の間に流れていた
「…おかえり、飯綱」
「え」「ゑ」
「…なんです、」
顔を背けているが、耳が真っ赤である
「えっと…?」
「なんだよ…!なんか文句あんのか?!」
「あ、すみません…」
「ぐっっ…
今日も、こうして会えてよかった…おかえり、飯綱」
「…フフッおう!ただいま!!」
「〜!!」
「あ、飯綱、敬語…」
「あ…すみませ、」
「いや、いい。懐かしいな。むしろ、よくここまで敬語覚えたな」
「あんたが覚えさせたんでしょうよ…」
「そうだっけ?」
「あんた以外いねえだろ…」
「んん〜もうっっっ!2人だけ仲良くして〜!ずるいっっっっ!!!!!!!」
「はあ…」
「空気読めよ、クソ害鳥!」
「終始俺にだけ酷いね?!」
「…はぁ。暗?うん。元気。2人が喧嘩し始めた。…うん。誰か動かせない?…ナースコールおしゃあ1発なんだけど…そう、アレがな〜…うん。え、そんなことに…いや、ま、そっか。じゃ、頼んでいい?…うん。わーってるって。はいはい。安静、だろ?…あーうんわかったって…ん。じゃ頼むわ」
飯綱の電話の後ろでは、まだ理性は残っている2人が口喧嘩をしている。マフィアの世界は、血に塗れている。明日を迎えられる保証もない。苦しい道だ。それでも、光がないわけではない。光…こうした日常の中の楽しみや希望。少なくとも飯綱達にとってはこんななんて事ない普通の日常が何より幸せで、何より眩しいものであった
次回予告
僕、安倍晴明は今、遊びに来ています。道満とも和解(?)できて最初の協力プレイは、部下の恋愛相談になりました。人数もいるし、性格もなんとなくわかってる。なのに、全然進まない…。あーもうっっ。道満の悪いとこそのまま見て育ったんだろうなぁ…。めげるな、僕。たとえ行く道が茨の道だっととしても。たとえ僕以外ほぼ役に立たなくても。僕にできないことはないんだから。絶対に、やり遂げて見せる。次回「マフィア恋物語」。って晴…。セーラー追わないで…
ざっつい次回予告ですね〜。晴明推しの人、全然ぶん殴ってくれていいですよ。主も自分の推しこんな解釈違いっぽくされたら殴りますし。みっともなく言い訳すると、全然晴明の口調掴めないんですよ…。いや、掴んでからかけよって話なんですけど。誠に申し訳ありません。
さて、次回からは予告通り「マフィア恋物語」です。いや〜原作最高でしたね〜。故に!!ゆえに、ハードル高え…。しかし!主が恋愛に疎いのも把握済み!図書室で恋愛小説借りてきました、5冊。ちゃんと読み終えました。いや、テスト月曜日なんですけどね。ははっ…ヤバいっすね〜もし今後更新が1週間いや、8日(変わんないか)途絶えたら赤点確定ですのでご了承下さい。マフィア恋物語は大体2話くらいかなーと考えてます。前半は5月21か22日更新予定です