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ウィド&ディレ
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榎本くもり
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如月玲
37
谷崎爽奈
81
「人の言葉は最後まで聞こうね。君もキチガイかー」
そう言って旭さんは少しだけ、しゃがんだ。それから、左の懐に入っていた小刀を右手で引き抜き、腹に差して、それから力任せに小刀とともに僕を横に動かす。
僕は横に投げられて、長屋をひとつ壊して止まった。肺が痛い。わざわざ、肋骨の隙間に入れている。どれほどの時間と鍛錬があればこれが可能なのだろう。抜くと肺から空気が漏れ出やすくなるから抜かない。
カツカツと音を立てて、旭さんは人の家に土足で入ってくる。
「狩衣を着ている人には気を付けないと。」
狩衣から刀を出して、僕と少々間を取った場所で刀を構えた。
「僕も、本気でやるか。」
——〘爆弾魔〙。戦闘に不要な感情の消去。決定。
ゆっくり刀に手をかけ、それから一瞬で旭さんの喉元を貫くつもりで上に突き上げる。当たり前のように旭さんはこれを避けた。これはよけられてもいい。
即座に抜いた刀で、旭さんの腹部を両断するつもりで、斬る。
「無駄だよ。」
刀は、旭さんの服の一部を切っただけで終わった。旭さんは、狩衣の中に鎧を着ているようだ。どこなら、どこならいける?足?腕?心臓?首?頭?無理 無理 無理 可能性あり 可能性あり。
「首。次狙っているのは、首でしょ。私は知ってる。」
エスパーかよ。考えていることは全部お見通しかよ。クソ婆。あぁ、やべぇ殺されるな。
——〘爆弾魔〙。戦闘に不要な感情の消去。オフ。決定。
しかし、彼女は微動だにしなかった。僕がクソ婆と言っても、動かなかった。彼女はエスパーじゃない。なんだ?
「後250秒。」
僕を殺すのに250秒もくれるのか。お優しいことだ。
「お優しいですね。」
「何が?」
「後250秒も生かしてくれるんですね」
「君になしをしても250秒以内に君が死ぬ事はないよ。私は知ってる。だから何かするつもりはないよ。意味がない。」
「ほぇぇぇ。よくも刺してくれましたね、痛いですよ。金を払ってください。」
「君も冗句のセンスはないんだね。そもそも、私がしたのは過剰防衛かもだけど、私はそこまで不要なことはしてないよ。刺さなかったら君が原因で、住民が一人死んでたもん。」
「そうですか。」
「あと、そこのタンスの裏に隠れないと、5・4・3・2・1・0。」
次の瞬間、大量の矢が降ってきた。
「なにいきなり。」
「馬鹿のせい」
馬鹿。〈百舌鳥〉の顔が思い浮かぶが違う馬鹿だろう。おそらく、白い服を着て、骸骨の面を被ったやつの事だろう。
「まぁ、もう大丈夫。じゃぁ。」
矢が止まったことを確認して旭さんは外に出た。長屋はすべてボロボロで、もう新しく作り直した方が数倍楽なほどだ。
「待ってください。何が目的なんですか?それを教えてください。」
「私も早くしないとね、じゃぁね。」
旭さんは、城の方へ走って向かっていった。僕はそのあとを走って追いかけようか、北上先生の加勢をすべきか迷う。
「〘爆弾魔〙」
北上先生は、僕に一度触れて先ほど旭さんに刺された傷口を即座に治癒して、そう言った。
「ここは任せろ。」
そうか。ならば任せよう。という意味を込めてフッと笑う。北上先生がそう言うのなら、たぶん任せて大丈夫なのだろう。
城へ向かうにしても、悠長に歩いて行くほど緊迫していないわけでもない。一刻も早く彼方のもとへ向かわなければ。そもそも、一刻とは二時間。二時間でも早くって言われても、苦笑いしかできないが。今はどうでもいい。走るか。
道に大量にある矢を避けながら全力疾走で城へ向かった。ダダダダッと階段を駆け上り、天守閣へ登った。そこでは〈百舌鳥〉がひとりで、どんどん飛んでくる大砲の玉を、木刀でバッティングしていた。
「よぉ、〈梟〉無料《ただ》でバッティングだぜ。」
——〘爆弾魔〙。爆弾生成。 火。決定。&爆発停止。 オフ。決定。
そして、作った手榴弾を〈百舌鳥〉に手渡す。〈百舌鳥〉はそれを受けとり、器用に大砲の玉の中に入れた。
「伏せて」
ドォォンと音がして、大砲を大破した。
「さらば、エフィーさん。」
天守閣から先ほど大破した大砲の方向を見て、手を合わせて笑っている。そんな〈百舌鳥〉の頭に、銃弾が撃たれた。
やばい、爆発止める方の能力をつけ忘れてた。
——〘爆弾魔〙。爆発停止。 半径12km圏内。決定。
しかし、〈百舌鳥〉はそれを額に当たる前に取った。それから投げ返した。投げた銃弾は銃口に綺麗に収まり、銃は壊れた。
銃を撃ったのは、萩野さんに坂本と呼ばれていた男だった。
「わしゃ坂本。坂本 龍馬や。聞こえちゅー?」
土佐弁か、しゃべり方に特に標準語や京都弁などのなまりはない。
「どうしますか?」
『〈梟〉殺さないでくださいね。』
持ち場に着いたのだろう〈鴉〉から連絡がくる。
「えぇ、もちろんです。」
「で、どうするんですか?リーダー」
「どうしますかな。あいつの能力がわからんからな。彼方。いい案ある?」
「ボクが戦‥‥。」
「却下」
「ボク弱いかなぁ?」
「はっきり言って弱いです。〈百舌鳥〉萩野さんが来るまで時間稼ぎをよろしく。」
「了」
〈百舌鳥〉はポケットからトランプカードを取り出し投げた。おそらく坂本は避ける。時間稼ぎにはなるだろう。なにか、変だ‥‥。
旭さんは囮かも‥‥僕をここに連れてくるだけの存在かもしれない。
旭さんが見えない。つまり最悪、萩野さんのもとに〘科学者〙〘巫女〙〘ICT〙が、あの人の相手になる。まて、北上先生は無事か?もし負けていれば〘漫画家〙が萩野さんのところに向かう。だが、予想。あくまで予想。僕らは、ここで彼方を守った方がいい。萩野さん。早く来てください。
そう願う僕の元にうれしい知らせと、最悪な知らせが同時に舞い降りた。萩野さんが来る。▓▓▓▓▓。
コメント
1件
うわぁっ第30話めっちゃ熱かった!!😭💕 旭さんの“狩衣の人には気をつけろ”って台詞、伏線回収がエグい…。そして〈百舌鳥〉が砲弾バッティングしてる光景、頭に浮かんで笑ったw 最後の“萩野さんが来る。▓▓▓▓▓”で続きが気になって仕方ないよ!!ゆのさん、今回も魅せてくれてありがとうございます🌸✨