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「羊が1匹…羊が2匹…羊が3匹…食べられた…….」
彼は眠れなかったため、羊を数えた。しかし、羊はある程度数えると、突然狼がやってきて襲われてしまい、最初からになってしまいます。
彼はその後も羊を数えます。1匹、2匹、3匹と。しかし、やはり狼が突然現れて、羊を攫っていってしまうのです。最初は青空だった天気も、気がつけば鬱蒼と生い茂った森の中を歩んでいるかのように暗くなり、とうとう1寸先さえ見えなくなってしまいました。
周囲には食い散らかされた羊の残骸が大量に転がり、湿っている足元が湿地帯ではなく、血が原因だと彼は気がつきました。
眠気に襲われながらも意識ははっきりとしており、ぐちゃぐちゃな頭の中、彼は後悔しました。
「私が羊を数えなければ、羊が狼に襲われることもなかっただろう」と。
彼は懺悔しました。私が私利私欲のために、羊を危険な場所へ呼び出し、実際に沢山の被害を受けさせてしまったことを。心の底からの懺悔が終わった時でした。視界はだんだんと明るくなり、けたたましい電子音が鳴り響きます。彼は目を覚ましました。そう、ここまでの全てが夢でした。「何か怖い目にあった気がする。」内容を思い出せない彼はそう呟き、今日もまた外出の準備を始めるのでした。
『1日、2日、3日、4日。また、ダメだったね。彼はいつになったら、この柵から出られるのかな?今日もまた、この悪夢を見続けるの、かな?』
彼が精神を完全に壊してしまうまで、あとーー日。
今日も暗い部屋の中、うなされながら羊を数える彼の声が、闇に掻き消された。