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本気にさせたい恋

154 - 第154話  叶えられた願い②

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2024年10月09日

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「何?それとも誰でも受け取ってよかったワケ?」


オレはそんな気持ちでいるのに、透子は別の存在を心配して気にかけてるのが気に入らなくて少し困らせる言葉を言う。


「いや、それは話が別で・・」

「透子だって嫌なんでしょ? オレが透子以外の弁当食うとか」

「それは・・うん・・・。私だけって言ってくれたの嬉しい・・・」


っていうか。

そんな余裕な言葉も実は前の男に作ってたからとか?

だからその時の自分を想い出してるの?


「透子は・・?」

「前の彼氏に弁当も作ったことあんの・・?」


きっと料理作ったことあるって言ってたし、弁当も当然作ったことあるんだろうな。

あの時の透子なら作っててもおかしくないくらいの入れ込みだったし。


あーあ。

オレにとってはその都度初めてを知れて嬉しいのに、透子はきっとそうじゃないんだよな。

初めて感じる嬉しさや幸せは、きっと前の男が全部持っていってるんだろうな・・・。


「ねぇ、どうなの?」


だけど、微かな期待をして、透子を問い詰める。


「ないよ。お弁当作ってあげるのは樹が初めて」

「ホントに?」

「うん。私も作ってあげたいって思ったのは樹だけだから」

「よかった・・・。それも前の男にしてやってるんだと思ってたから、マジで嬉しい」

「うん」


そっか・・。

弁当はオレが初めてなんだ・・。

やっとオレが初めてのモノ見つけた。

結婚生活は当然透子もきっと初めてのことが多いだろうし、実際これから一緒にたくさんの初めてを経験するだろうけど。

でも、やっぱり少しでも一つでも多く透子の初めてを手にしたいというのは、ただの男の我儘なんだけど。

それでもやっぱり、嬉しいもんは嬉しい。


「あっ、じゃあさ。昼休みあの屋上に来て。鍵開けとくから。そこで弁当一緒に食べよ」

「えっ? いいの?」

「今日は社長いないし、あの場所は一応あれからいつでもオレも使っていいことになってるから」

「やった。じゃあお昼にそこで」

「うん」

「じゃあ、お弁当樹の分も一緒に持っていこうか?」

「いや。自分で持っていく。透子がオレの為に作ってくれた弁当、ずっと持ってて眺めてたい」

「ハハッ。何それ?ただのお弁当だよ?(笑)」

「ただのじゃないでしょ。オレが夢にまで見た特別な弁当なんだから、すぐ食べるのももったいない。ちゃんと幸せ実感して味わって食べるから」

「わかった(笑)」


オレの楽しみ取らないでよ。

透子が作ってくれた弁当を持ってるってことが嬉しいんだから。


やべぇ。

オレ絶対今日午前中弁当眺めてずっとにやけてる自信あるわ。


何気ない普通のことも愛しい人とならすべてが嬉しくて幸せで。

オレだけを想ってしてくれるすべてのことが嬉しくて幸せで。

本当は透子が初めてだとか、そうじゃないとか、そんなのどっちでもよくて。

オレにとっては、透子と過ごすすべてが初めてだから。

オレはその時間すべて幸せだから。

その初めてを何回か積み重ねれば、きっとその分その時間も愛しくて幸せで。

今はそんな初めても、積み重ねていく時間も、すべてが楽しみで仕方ない。

この先透子と同じようにその時間を一緒に感じていけることが大切だから。

これから二人で一緒に過ごす時間は、すべて初めての時間で想い出になる。

これから二人のそんな時間をもっともっと増やしていこう。

これから一緒の想い出を、もっともっと。



「よし。じゃあ行こっか」


そして二人で一緒に会社へ向かう初めての朝。


「ん」

「ん?何」

「手」


手を繋ぎたくて透子へと手を差し出す。


「じゃあ、会社に着くまでの二人の時だけね」

「まぁオレは別に全然ずっと繋いだままでいいんだけど」

「やっぱりそこは我慢しよう。ね、樹?」

「わかった。じゃあそれまではしっかり繋いでく」

「うん」


もう結婚するんだから誰にも隠すことないし恥ずかしがらなくてもいいのに。

だけど、ちゃんとそう言いながらも繋いでくれる透子。

実際いつでも触れていたいって気持ちもあるけど。

だけど、オレはどんな時も透子と一緒に同じ歩幅で歩いていたくて。

隣に並んで同じペースでいろんなものを感じていきたい。


とりあえず今日は電車で通おうと一緒に駅に向かったけれど、思ったよりもラッシュがすごくて。

きっと透子のことだから実際本人としてはそんなのも平気なんだろうけど。

でもなんとなく。

オレが一緒にいる時は、例え大丈夫でも守ってあげたくて。

少しの距離も感じたくなくて。

ただオレが透子と一ミリも離れたくないだけ。


「ねぇ。明日からは車で会社に行こっか」


そしてようやく人混みを抜けて少なくなった頃に声をかける。


「えっ?車で?」

「うん。会社でオレの車停められる駐車場も確保してもらってるし、一緒に会社行く時は車にしよう」

「私は電車でも大丈夫だよ?」

「いや、思ったより新しい家からだと人多いし。社長の代わりしてからは車で行くことのが多くて、オレも気づかなかったんだけど」

「これくらいなら前の家からでも変わらなくない?」

「まぁあのマンションからもこんな感じだったけど、もう今はオレが嫌なの」

「なんで?」


「ん?透子が他の男に囲まれるのが嫌だから」

「言い方(笑)通勤ラッシュなんだから仕方ないよ」

「だからだよ。どさくさに紛れて透子になんかされても困る」

「されないよー(笑)それに樹が一緒にいてくれてるんだし」

「うん。オレが守れるのはいいんだけど、そんなことするんなら、車で二人きりでいた方がいい」


実際今日こうやって電車で通ってわかった。

これはオレが無理だ。

透子一人で会社ここから行ってた時はこんな感じだったのか・・。

ずっと両方の会社行き来する為にオレは車で通っていたからわからなかった。

透子がどんな風にどうやって通っているのか知りたくて同じように電車で向かったけど。

こんなにもラッシュだとは思わなかった。

これはマジ一緒にいて守らなきゃいけないレベルだろ。

イチャつくとかそんなの考えるレベルじゃなかった。

隣にいないと心配なレベル。

これはオレが一緒に行ける時は一緒に車で行って、それ以外で大丈夫な時は透子だけでも送り届けなきゃな。

とりあえずその心配までは透子には重すぎるだろうから、透子にはそうやって冗談っぽく言って誤魔化しておこう。


「まぁ車だと早いし安心だけど。でも、電車だとその分長く一緒にいられるし、手繋いで守ってもらえるのも案外好きだったんだけどな」

「車なら会社には早く着くけど、その分長く一緒にいたいなら家でもっとイチャついてから出ればいいよ。手も車の方が家からもずっと車の中でもずっと繋いでられる」

「危ないよ」

「大丈夫。そんなくらいじゃ事故らないから。なんなら信号ごとでもいいし。その方がずっと近くで透子も見つめてられるし」


うん。そう考えればオレ的にも透子と気兼ねなくイチャつける。


「そうじゃん。そしたらその分いくらでもチューも出来るし。うん、そうしよう。よし決まり」

「えっ!?」

「オレは一秒でも多く透子と一緒にいたくて、安全に透子を守りたいだけ。わかった?」

「うん・・・。わかった。樹が思うようにしてくれていいよ」


まぁオレに愛されるってことはこういうこと。

透子は重すぎるオレの愛を受け止める資格があるからね。

黙って守られていて。




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