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「この部屋でいいな」
ジンに通された(運ばれた)部屋は、階段からも窓からも一番遠い部屋だった。
逃す気など、毛頭無いということか。
乱雑にベッドに降ろされ、やっと目隠しが外れる。
照明が眩しくて、薄目でジンを睨み上げる。
「必要な物は後で持ってきてやる。間違っても逃げるんじゃねえぞ」
返事は、あえてしない。
何か、ジンの口から黒の組織の情報を抜き出せれば…。
「おい。ギムレット」
案の定、ジンは気が短い。
すぐに突っかかってきた。
自分より下の立場の人間に無視されるなど、屈辱でしかないだろう。
引き下がるかと思っていたが、意外に黒の組織のボスは暇らしかった。
「新しい名前で呼んでやってるのに無視か。お高くとまってんなぁ、ゼロの右腕?」
「……なら、私は『ブルームーン』とでも呼んでやろうか」
何も言わずとも、意味ぐらいは知っているだろう。
分かりやすい証拠に、ジンの口角がぐにゃりと上がった。
長い腕が、顔にまっすぐ伸びてくる。
自分よりも頭一つ分でかい身長だからか、手も自分の顔を覆えるほどに大きかった。
「いい度胸だ。だが俺のことは『ジン』と呼べ」
「……は。だれが、」
「てめぇの大切な“ゼロ”がどうなってもいいのか?」
「ッ…!」
ゼロ。今もこの組織にスパイとして潜入し、黒の組織を確実に潰すため命懸けで情報を探っている…降谷さん。
黒の組織のボスであるジンからすれば、降谷さんを消すことだって簡単にやれてしまう。
見誤るな。
1人の公安としての、最善を。
「…………ジン」
「ハ、いい顔になったじゃねえか。
なあ…ギムレット?」
「ッ……」
挑発して情報を引き出すなんて、数々の大規模な犯罪をやり遂げてなお逃げ仰せているジンが引っかかるわけがなかったのだ。
息を、感情を殺せ。
降谷さんを危険に晒すな。
少しでも…貴方の役に立てるように。
そのためだったら、自分はどうだっていい。