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深夜2時。部屋の明かりはついていない。
窓の外の街灯が、薄く机の上を照らしている。
涼ちゃんは、またノートを開いていた。
書く言葉が出てこない。
ただペン先が紙をなぞって、掠れた線だけが残る。
「……もう、どうすればいいんだろ」
声にならない独り言が、空気に溶ける。
音楽を好きだったはずなのに、今は鍵盤を触るのが怖い。
音を出した瞬間、自分の弱さが響く気がして。
スマホの通知は今日も光らない。
連絡をくれる人はいるはずなのに、開ける勇気がない。
“心配されることすら、迷惑かもしれない”
息を吸うたびに、胸が重く沈んでいく。
何も考えられないまま、涼ちゃんはそのまま机に顔を伏せた。
静かな部屋の中で、小さな嗚咽だけが響いていた。