テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
2,658
73
第5話「孤独な王と、カラスの止まり木」
ラジオの喧騒から逃れるように、ノアは少し寂れたゴシック調の広場のベンチに座っていた。少しふわっとした長い黒髪を揺らしながら、肩に乗ったレインと、周囲に散らばるカラスたちに、低い落ち着いた声で静かに話しかけている。
「天国は綺麗だったけれど、冷たい場所だったね……。でも、みんながいてくれれば、私はこの赤い空の下でも寂しくないよ」
カラスたちが嬉しそうに羽をパタパタと鳴らした、その時。パンッ!と、カラフルな紙吹雪が弾ける音と共に、突如として目の前の空間が歪み、現れたのは、白いスーツにシルクハットを被り、リンゴの杖を持った小柄な男――地獄の王、ルシファーだった。
「ハロー! 君が噂の『フェザー・デーモン』、ノアちゃんかい!?」
普段の引きこもり生活からは想像できないような、どこか無理にテンションを上げた、だけど圧倒的な「創造主(王)」としての魔力を放ちながら、ルシファーはノアの目の前に着地した。普通の悪魔ならその威圧感に平伏するところですが、誰とでも親しく接するノアは、少し目を丸くしたものの、いつもの落ち着いたトーンで「あら」と微笑んだ。
「ええ、私がノアよ。……あなたは、もしかして地獄の王様?」
「そう! その通り! 偉大なるルシファーさ! いやぁ、アラスターの生意気なラジオを聞いてね。天国から理不尽に落とされたっていうから、どんな恐ろしい化け物が来たかと思えば……」
ルシファーは、ノアの優しく気さくな眼差しと、その背後に漂うどこか儚い「10歳の少女の魂」を、父親としての鋭い直感で見抜きました。彼自身も、かつて天国から「間違った審判」で落とされた身です。自分と同じ、天国の理不尽さの被害者であるノアに対して、ルシファーの目から険しさが消え、親近感に満ちた柔らかい光へと変わりました。その時、ノアの肩にいたレインが、ルシファーに向かってトコトコと歩み寄り、不思議そうに首を傾げた。
「おや、君がレインかい? 賢そうなカラスだね。……あ、そうだ! カラスといえば、これを見てよ!」
ルシファーは嬉しくなってしまい、ポケットから「カラスの形をした、小さな黒いゴムのアヒル」を取り出して、ノアとレインの前に差し出しました。自分で作った自信作だそう。
「どうだい? 可愛いだろう! 君たちを歓迎するために急いで作ったんだ!」
これにはノアもクスッと小さく、低い声で上品に笑った。
「ふふ、とっても可愛いわ。王様、ありがとう。気に入ったわね、レイン?」
ノアの低い声の優しい響きと、自分のアヒルを素直に褒めてくれたフレンドリーな態度に、ルシファーは「やったぞ!」と子供のように目を輝かせた。地獄の誰もが自分を恐れるか、あるいは裏切ろうとする中で、この新入りは全く態度を変えず、対等な友人として接してくれたのだ。
「気に入ってくれたかい!? 嬉しいなぁ! よし決めた、ノア、今日から君は僕の最高の友達だ! 宮殿に来るかい? もっとたくさんアヒルがあるんだ!」
「ええ、喜んで。案内してくれる?」
こうして、全地獄が恐れる最強の王ルシファーと、30羽の凶鳥を従えるフェザー・デーモンは、出会ってわずか数分で、地獄で一番深い絆で結ばれた「親友」になったのだ。
____________________
終わりぃ!!
次回、第6話「親友から愛娘への最高の贈り物」
予告
ルシファーとの出会いからしばらく経ち、宮殿でアヒル作りに付き合ったり、お茶を飲んだりするほど仲が深まったある日のこと。
親友であるノア(フェザー・デーモン)の優しさと圧倒的な強さを誰よりも知ったルシファーが、愛娘チャーリーが経営する「ハズビン・ホテル」へ、彼女を特別なゲストとして招待するお話……
コメント
9件
ルゥ~~シィ~~~~!!登場嬉しすぎる(ノД`)シクシクアラスターとルシファー大好きだからありがてぇ〜てかてぇてぇ〜(≧∇≦)