ロングビーチに停泊中の船が遠くに見える。サンペドロの海が見える丘は、赤い太陽光線に染まっていた。空の表情は毎秒ごとに変わっていく。
「昨日病院に連れてってもらったときにね、デジュンって面白いこと言うのよ。ケンタは今、ロンリーだって」
あいつ、いらんことしてくれたな。
「でね、『今あいつには寄り添ってくれる誰かが必要なんだよ』だって。それでね、『ナツミ、お前がケンタを支えてやれ』って言うのよ」彼女は少しはにかみながら言った。
「面白いこという奴だね」
奈津美さんと目が合った。黙って両腕を広げた。
「ごめんなさい」彼女は下を向いて身を固くし、後ずさりした。
俺は一歩進み出て、彼女の両肩に手を置こうとした。
「私、男性恐怖症なの」
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