テラーノベル
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謎の美少女の号令により、奥多摩の謎の施設を強襲することになった。
青い髪をした爆殺魔が、施設の外周と動力部を爆破する。混乱で職員や戦闘員が慌てる隙に、拘束されている能力者を確保する。白いタキシードの美少女が、救出の主力を務める——それが大まかな段取りだった。謎の美少女は、敵味方ともに重傷者を出さないよう、明確に指示した。殺傷は禁止。無力化と確保に徹すること。配下の能力者も多数、陽動と制圧に参加する。決行は明朝未明、午前三時。職員や戦闘員の多くが睡眠に落ちている時間帯を狙う。見張りはいるだろうが、数は多くないという情報だった。
謎の美少女自身は、現場に出る予定はない。
塔の最上階で、コレクションを見守り、戦況を待つだけだ。藤代雪乃も、これまでどおり彫刻のように裸で佇んでいるだけのはずだった。ところが、主は雪乃の前で足を止め、静かに言った。
「罪滅ぼしに、現場に出なさい」
雪乃は、心の中で仰け反った。動けない身体のまま、視線だけを上げる。薔薇の蔦で戦闘員を縛れ、という指示が続く。脳が甘く痺れた。抗おうとしても、意志の輪郭が溶ける。いつの間にか、口が動いていた。
「……わかりました」
固定が解ける。関節に再び自由が戻る。次の指示は、着替えだった。体にぴったりと密着する、半透明のグレーのスーツ。能力者用の強化服で、銃弾をある程度防ぎ、身体能力を人間の数倍に引き上げるらしい。雪乃は与えられた服に袖を通すしかなかった。鏡に映る自分は、学院で薔薇を切っていた朝の姿とも、十字架に吊るされていた夜の姿とも違う。戦闘用の輪郭を帯びた、別人めいた影だった。
藤原麗華も、参戦するという。
黒いレース下着を思わせる形状の強化服に身を包み、手に短いムチを握っている。かつて女奴隷を打っていた性癖が、そのまま「敵を叩ける」喜びになっているらしく、頰をわずかに上気させていた。麗華は雪乃を一瞥し、「今度は貴方が動くのですね」と短く言った。返事をする暇もなく、準備は進む。青髪は母乳の爆破半径を調整し、白タキシードは進入経路を最終確認している。銀髪のプロフェッサーMは、今回は後方支援に回るらしい。杖の先で立体地図を光らせ、潜入班のタイミングを合わせていた。
午前二時を回る。
塔を出る前に、謎の美少女が全員の前に立った。薄い金髪が、室内灯に淡く輝く。
「怪我は最小に。能力者は連れ帰る。抵抗する職員は蔦とムチと爆風で止めなさい。いいわね」
誰も、異論を唱えなかった。雪乃はグレーのスーツの感触を指先で確かめながら、自分の役割を繰り返した。薔薇の蔦で縛る。殺さない。罪滅ぼし。それが、今の自分に許された動き方だった。みおんが玄関まで見送り、小さく手を振る。雪乃は振り返れず、ただ窓から見える山の方向へ、意識を向けた。
奥多摩まで、あと数時間。
決行の時計が、静かに回り始めていた。
続く。
恵
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星キラリ

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コメント
3件
え、ちょっと待って第90話……!?!? 雪乃がついに戦闘に出るんだけど😭💦 今まで彫刻みたいに立ってるだけだった子が「罪滅ぼし」って自分の意志で動き出すの、めっちゃグッときた……薔薇の蔦で縛る戦い方、美しすぎて怖いし麗華との対比もエモい。強化服の描写も細かくて映像が浮かぶよ。決行まであと数時間ってラストの時計の音、心臓に響く🤍 次、早く読みたい……!!