バイクのエンジン音で目が覚める。重い瞼を擦ろうと瞳に触れると、濡れている事が分かった。どうやら夢を見て泣いていたようだ。
自分の横に手を伸ばす、がスカリと空を切る。勿論の事隣には誰も彼もおらず、薄暗い部屋に一人。
そうか、同居人は昨日出ていったのだった。アレは完全に自分が悪い訳で。
今更悔やんでも遅い。そう思いながら、ラインを開き青いアイコンの主にメッセージを送る。
数分後、返信が届いた。『もう会いたくない』、か…。そう、だよな。
外に出ると通行人の声、足音、車や電車の騒音。
時間は過ぎていく。ズレた布をそのままミシンで縫い合わせた様に、互い違いになって元には戻せない。
不意に赤いランドセルを背負った少女が、目の前を横切る。少女のランドセルには青色の体でピンクのヒレが付いたステゴサウルスのぬいぐるみが付いていた。
コメント
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素敵だね!