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教室
楓とむつるの前に立つほのか。
目には決意と怒りと悲しみ。
「楓、むつる……本当に隠してるんだね。何か大きなことを」
教室の空気が冷えきる。
周囲のクラスメイトもざわざわと気配を感じはじめる
楓が、苦しげに口を開きかける。
「……ほのか、あのね、私たちは―ッ」
その瞬間、ガシャン!!!
校舎が揺れるほどの轟音。
窓ガラスが震える。
「今の……何!?」
廊下の向こうから、教師の悲鳴。
「非常階段が崩れたぞ!生徒が下敷きになった可能性がある!」
騒然とする校舎。
生徒達はわらわらと騒ぎながらも避難を開始。
崩れた鉄骨の下で、うずくまってる生徒。
そこにー光の壁と炎の刃が走る。
むつるが腕をかざし、光の柱で瓦礫を持ち上げる。
楓が駿敏に飛び込み、生徒を救出。衣服が風でなびく。
ーーしかし、その姿を誰かが見ていた。
(あれって……光と炎……?)
物陰で震えるほのか。
ほんのわずかに、制服のフードの奥に見えた赤い瞳と、光る紋章。
「……楓……むつる……」
放課後︰保健室前の廊下
「楓とむつるが助けたって聞いたけど……どうしてあの時、あんな場所にいたの?」
ほのかの声に、楓は少しうつむきながら笑う。
「運が良かったのかも」
ほのかの目が少しだけ細まる。「……運ね。ーー本当に、そうかな?」