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【ロケバスの密室:沈黙のビデオ通話】
「……あ、照くんからだ」
深澤がスマートフォンの画面を覗き込み、意地悪く口角を上げた。
ラウールに脇腹を掴まれ、阿部と渡辺に逃げ道を塞がれた目黒の前に、その画面が突きつけられる。
深澤が通話ボタンを押し、画面をカメラが目黒を正面から捉える位置で固定した。
『……蓮、お疲れ様。さっきのラブシーン、マネージャーから送られてきた動画で見たよ』
画面越しに映る岩本は、薄暗いトレーニングルームにいるのか、首筋に汗を浮かべ、恐ろしいほど無機質な表情をしていた。
その瞳は、画面を突き抜けて目黒を刺し殺しそうなほど鋭い。
「照くん、ごめん……仕事だから……っ」
『仕事? ああ、わかってるよ。でも、あの女が触れた場所、お前の私物じゃないってこと、忘れたのか?』
岩本は冷たい手つきで、画面越しに目黒を指差した。
『……今すぐ、そこでシャツを脱げ。その女が触れたところを、俺に見せろ』
「え……っ、ここで!? みんなもいるのに……」
『……俺の言うことが聞けないのか?』
岩本の低く、拒絶を許さない声。ロケバスの中に緊張が走る。
目黒が震える指先でシャツのボタンを外すと、ラウールが手伝うように乱暴に布を剥ぎ取った。そこには、さっきラウールが爪を立てた赤い痕がくっきりと残っている。
『……ラウールか。先に手を出すなと言ったはずだが……まぁいい。蓮、その痕のすぐ隣だ。そこを自分で、俺が見ている前で、真っ赤になるまで強く掻きむしれ』
「っ……ぁ……」
『……早くしろ。その女の感触が残ってるのが、反吐が出るほど不愉快なんだよ』
ビデオ通話越しに、自分の身体を自ら傷つけるよう命じる岩本。
渡辺はそれを嘲笑うように眺め、阿部は冷静にその様子を録画し、ラウールは目黒の耳元で「ほら、部長が言ってるよ?」と熱い吐息を吹きかける。
目黒は涙を溜めながら、自分の肌に爪を立てた。
岩本の視線が、画面越しに目黒を凌辱するように舐め回す。
『……いい子だ。今夜、スタジオに戻ってきたら、その痕の上から俺がもっと深い「印」を付けてやる。……それまで、他の男にこれ以上汚されるなよ』
プツリ、と通話が切れる。
静まり返った車内。
目黒は半裸のまま、逃げ場のない絶望に肩を震わせる。
「……よかったね、めめ。照、相当お怒りだよ」
深澤が冷たい指で、目黒が自ら傷つけた場所をなぞった。
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