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9 - 第9話 サイド トキ

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2022年03月30日

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サイド トキ?(×××)


家に帰ると、母さんの悲鳴と何が割れる音が聞こえた。

ああ、またかとうんざりする。

僕は深呼吸をして無理矢理口角を上げてガラリとドアを開けた。

「ただいま。母さん」

「…………ァ、×××……」

助けを求めるその瞳を僕は笑顔のまま見つめる。

「ごめん、卵きらしてたの忘れてた。悪いけど、買ってきてもらってもいいかな?」

「そんなのお前が行けばいいだろォ?」

舌なめずりするような気持ち悪い声に背筋がぞっとする。

それでも、逃げるわけにはいかくて。

「僕じゃどれが安いのかわからなくて」

「……行ってくるね……」

「うん、いってらっしゃい」

強引に母さんを外へ出す。

バタンとドアが閉じると同時に、僕は男と向かい合った。

「また、母さんのこと虐めていたのか」

もう笑顔でいる必要はない。

「ヒヒッ、お前がいなければいいとこだったのになァ」

「誘拐だってお前の指示だよな?見知った人が何人かいた」

「おいおい、お前の母親の上司を疑うのかァ?証拠はあんのかョ」

「………………」

その立場を利用して、弱い母さんを痛ぶるこいつは上司なんかじゃない。卑劣な人間だ。

証拠がないから、僕たちが何も出来ないことをわかってやっているくせに。

「人を疑う悪いコには、“教育”が必要だなァ」

「!!」


どれくらい時間が経っただろうか。

頭を掴まれて、そのまま壁に叩き付けられる。

一気に意識が遠くなった。

それから立て続けに五、六発お腹を殴られる。

「っー!!」

たまらず、どさりと床に倒れ込んだ。

「ヒヒャッ、お前も母親みたいに従順になればいいのに懲りねェなァ」

「奴隷になれって?冗談じゃ…!!」

バシャン!という音と同時にうめき声をあげる。

熱湯だ。

「熱っ……!」

視界の端で、あいつが包丁を持つのが見えた。

さすがにまずいと思った時だった。

「あの……やめてください。……息子にはよく言っておくので……」

いつのまにか母さんが帰ってきていた。

震えるその手には卵がある。

「そーか、そーか。んじゃ、また明日、ナ」

「………………は、い」

二度とこないでほしい。そんな思いで俺は玄関の鍵を閉める。

「母さん、大丈夫……」

大丈夫だった?

その言葉は続かなかった。


「なんで……なんで余計なことするのよ?!お母さんだって必死になって、がんばってるのよ?!どうして×××は余計なことしか出来ないの?!」

「っ……ぁ……」

母さんの細い指が僕の首を締め付けていく。

息が、出来ない。

「っ、母さ……ごめ…………」

声ともいえないかすれ声が咽喉から出る。

とたん、母さんは目を見開いて手を離した。

「っごほっ、ごほっ」

呼吸が楽になる。倒れないようにお腹に力を入れて、意識を保つ。

「ごめんね、×××。母さん、ひどいことしたね。

私がいなければよかったね……」

「悪いのはあいつと、母さんの心の病気だから、母さん自体は悪くないよ」

母さんは、鬱病だ。昔のトラウトがいまでもフラッシュバックするらしい。いや、今でもひどい環境の中にいるんだ。

仕方がないことだから。僕はそれをわかっているから。

だから、そんな悲しいこと言わないでほしい。

「それよりさ、ご飯食べようよ。お腹すいてるでしょ?」

「うん…」

「急いで作るからちょっと待って」

どちらが親なのかわからない言葉を言いながら、僕は台所へ向かった。


手を洗おうとしてジャージの袖をまくって、僕は体を硬くした。


(な、なんで、盗聴器があるんだ?!)

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