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「ヒイイイッ・・・」
少女はそう泣き叫びながら、魔獣と対峙する。魔獣が彼女に噛みつこうとすると、
「イヤアア!!」
そう言いながら杖から魔法を出していた。魔法が魔獣に直撃して魔獣が倒れた。だが、半泣きしている彼女は気付かず、まだ魔法を出している。そろそろ、町にも被害がでそうになったので従者が止めにはいった。
「ご主人様!もう、魔獣倒してるっぺ」
「えっ、本当だ!」
やっと気付き、慌てて魔法を出すのをやめた。彼女の魔法が当たった土地は全てエグれていて生き物が住めない土地へと変貌していて、従者が住める土地に戻していっている。
彼女は魔術、武術が完璧に出来る。だが、超絶ビビりなのだ。なので、依頼がきても怖いから無理。学校も怖いから無理、と何もしようとしない子だった。
─これは、そんな超絶ビビりだけど、最強な少女の物語である。
ビビりの少女・ジュリカルに一通の手紙が届いた。
〖ジュリカル様、貴女のご活躍をよく耳にします。いつも、国のために働いていただきありがとうございます。そこで、貴女に一度ちゃんとお礼をしたいので城にお越しいただけませんでしょうか。良い返事お待ちしております。〗
という、王妃様からの物だった。
「な、な、何コレ!?」
「私、ついに処刑されるのオ─!?」
「いや、そんなこと一言も書かれてないっぺ」
そんな従者・のっぺの言うことも聞かずにジュリカルは「死にたくないイイイ!!!」と叫んでいた。だが、のっぺはそんな様子を気にすることなく返事を書く。
「〖ぜひ、行かせてください〗っと」
「!?・・・」
「の・・・のっぺ、何して・・・」
ジュリカルに返事を取られる前に光のような速さでのっぺは郵便局に返事をいれた。
顔を青くして唇がワナワナと震えているジュリカルの頭を優しくのっぺが撫でる。
そして、同時にこう言った。
「応援してるっぺ!」
(ウッ、のっぺの気持ちは嬉しいけど、やっぱり、無理だよオオ!!)
・・・そして、とうとう城に行く日がやってきた。ジュリカルは珍しく落ち着いている・・・
・・・わけもなく、いつも通り泣き叫んでいた。
「ねえ、やっぱり行くの止めない?私が行くのは不敬だよ!」
「今、止める方が不敬っぺ」
なんとかして行くのを逃れようとするジュリカルに冷たい一言が放たれる。
「ううっ、」とうめき声を上げながら、正装に着替えさせられた。
金色のドレスに身を包んだジュリカルはのっぺの姿を見て疑問が浮かぶ。
「のっぺは着替えなくていいの?」
のっぺの姿はお化け(👻←こんな感じ)の衣装を上から被っているような姿だった。
上半身が完全に隠れていて、唯一足だけが見えている状態なのだ。お世辞にも正装といえない姿だが本人は全く気にすることなくこの姿で行く気満々だった。
「大丈夫っぺ!さあ、ジュリカル行くっぺよ-!」
「ま、待って-!!」
(ここがお城。デカイ・・・。やっぱり、無理イ、帰りたい!!)
もう、半泣き状態になっているジュリカル。そして、決心する。
「よし、帰ろう!」
「なに、満面の笑みで言ってるっぺ」
聞いたこともないくらいに明るい声で言うジュリカルにのっぺが冷静にツッコむ。
二人が言い合っているとメイドが現れた。
「お二方、王様と王妃様がお呼びです」
「は、は、は、はいイイイヒイ」
最後の方は返事が悲鳴になっていたジュリカルを見てメイドは思うのだった。
(本当にこの子が王様がおっしゃっていた実力者なの?)
どう見ても目の前の少女は無理矢理歯医者に連れて来られた子供のようだった。
「王様、王妃イ様、今日はお呼びいただきありがとうございます・・・」
(殺さないでエエ、お願い!!)
「こちらこそ、来ていただき感謝するぞ」
王は緊張をほぐすためににこやかにそう言った。だが、ジュリカルにその笑顔は逆効果だった。
(ヒイ絶対、あの人私のこと試してるウウウ!!あの笑顔は絶対そうだ!)
王は混乱していた。ジュリカルという少女の実力が読めないのだ。初めは、ただの小娘だと思っていたがいくらこちらが手厚くしてもいっこうに警戒心を解かない。まるで、野生動物だ。
(だが、なんとかしてこの力を我が国においていなければ・・・)
「そなたは、何か願いはないのか?何でも叶えてやるぞ?」
「何、でも?」
ずっと、下を向いていたジュリカルが初めて王の方を見た。
(引っ掛かっ・・・!)
王は彼女の目を見て、震えずにはいられなかった。彼女の目には光がなかったのだ。まるで、この世全てが絶望に満ちていると言っているように。
「出来る範囲で何でもに決まってるっぺ」
「そっか、」
近くにいたのっぺの一言で少しだけ目に光が灯った気がした。その様子を見て王はホッとし、話す。
「ま、まあ、困ったことがあったら頼るといい」
「は、はいイ!」
無事、王との面会から生還したジュリカルは王妃からお茶会に誘われた。普段のジュリカルなら、怖いから無理というが今の彼女は違った。誘いを受けたのである。
なぜなら、王妃様からの誘いを断った方が怖いから!
見るからに緊張して、手が震えているジュリカルに王妃様は優しく声をかける。
「そんなに、緊張しなくていいのよ」
「いいい、いえ、緊張なんてしてませんよ?…ガクガク」
だが、コップを落とすのではないかと思うくらい震えているジュリカルに説得力は皆無であった。その様子を王妃様は微笑みながらみている。
「うふふ、ねえ、ジュリカルちゃん」
「何で…しょうかっ(ヒイ)」
「私の息子と婚約しない?」
「・・・ふぇえ?」