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…あれはとても永くて遠い夏だった
五月蝿く蝉が鳴いていた 耳を引っ掻くような
音で鳴いていた。
その夏、私は女の子に
私はこのことをあなたに言った。
あなたは受け止めた。
それだけだ。
あなたは耳が聞こえてない。
でも届いた。
目に。
鼻に。
口に。
とても儚く散っていきあなたは
哀しい
でも悲しかった
あなたが望んだから。
私は踏切に行った。
あなたが透明になって私に
指を刺した。
ガタンゴトンガタンゴトン
電車の音がする気がした。
でも
見え無かった
だから無視をした。
ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン
危ないのでお下がりください
危ないのでお下がりください
五月蝿い。
目障りだ。
あなたとの時間を邪魔した。
あなたと私はかけ離れているようでない。
お揃いのキーホルダー。
不揃いのスカート。
私とあなたの違い。
私の耳に焼き付いた夏の音。
私の目に焼き付いた涙の顔。
私が飼っていたハツカネズミのよう。
夏が隠したあなたとの時間。
永久に焼き付くかと思った。
でも違った。
焼き付いたのは
憎悪。
悪意。
失恋。
踏切であなたは呟いた。
真っ白だねえ。
フッと消えてなくなったから。
呆然とした。
向日葵が夏にそっぽをむいてしまう。
蝉は我武者羅になり、迷子になる。
入道雲は私と夏を置いていく。
私は気がついた。
後悔はない。
ただ、あなたが大好きでしょうがなかった。