「ってことはケンチンも敵か…。」
マイキーに昨日のことを伝えると、マイキーは動揺もせずそう言った。
俺は動揺しているのだが、それよりも連戦で疲れた。
春千夜は向かいのソファで寝ていた。
今は夜の9時。小さい葬式が今日あったのだが、動きっぱなしってのもあって、午後の4時ごろ解散になった。
「…タケミっち。」
マイキーは、俺にそう話しかける。
「何ですか?」
「…忘れた。おやすみ。」
マイキーはそう言うと、自室への階段を登っていった。
「…変なの。」
俺はそう呟き、ソファから立ち上がった。
「さて、少し片づけてから寝ますか。」
俺はお盆を持ち、さっきまで使っていたティーカップを片付け始めた。
マイキーが使っていたカップに手をかけた時、一気にいろんな思いが込み上げてきた。
それはあまりにも醜い、という自覚はあった。
でも、思うだけなら罪じゃない。
どこかの誰かがそういう感じの事言ってたっけ。
「別れたくないなぁ…。」
望んでもいない涙が一滴、カップの中へと落ちる。
少し潤んだ目は、俺の悲しみを具現化していた。
:マイキー視点:
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ…。」
俺は部屋に入るなり、ベッドにダイブしてでっかいため息を吐いた。
また今日も言えなかったな、死ぬなって。
きっと、それは俺の中にまだ邪な気持ちが残っているからだと思っている。
一緒にいたいなんて、わがままな感情が。
俺は枕をぎゅっと抱き締めた。
枕はふかふかで、どこまでも潰れそうだった。
…俺のこのわがままな感情も、こうやって潰れてくれればいいのに。
でも、別れたくない。
ここにきて、死にたくないっていう感情まで湧いてきた。
「まだ、死にたくねぇなぁ…。」
上手く泣けない俺の眼は、ただすっからかんの気持ちを具現化していた。
:春千夜視点:
時間がいくらか経ったころ。
俺はソファから起き上がり、誰も起きていないことを確認した。
「…よし!」
俺は立ち上がって、走って外へ出た。
玄関口らへんには、灰谷共がすでに来ていた。
「遅いよ、春千夜。」
蘭はそう言うとにやにや笑う。
俺は殴りたい気持ちを一心に抑え、灰谷達に伝えた。
「マイキーとドブには内緒にしておいてほしい。できれば二人と繋がっている情報網のやつらにも。」
「…うん。分かった。」
竜胆は二つ返事でそう返した。
蘭もうなずく。
俺は口を開いた。
「あいつらを、生かして幸せにしたい。」
マイキー殺害まで あと
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!