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『星の英雄 ゲズとリオン』
第2章:目覚めし力
「星の血…? それって、一体どういう意味なんだ?」
瓦礫に囲まれた静寂の中、ゲズの声が震えていた。
隕石がもたらした死と混乱の直後、突然現れた男――リオン。
彼の瞳はまっすぐゲズを見据えている。
「人間の中には、遠い星々の力を受け継いだ者が稀にいる。君はその一人だ。」
そう言うと、リオンはゲズの胸元を指差した。そこには、確かに…発光する紋章が浮かんでいた。
それはまるで星の軌道のように複雑で、美しい。
「君がその力に気づかないまま死ぬ未来を、俺は変えに来た。」
その瞬間、空が再び唸った。
黒い宇宙船が上空を滑り、次々と降りてくる侵略者たち。
彼らは人語を話さず、ただ冷酷に、無差別に地上の命を狩っていく。
「来るぞ、ゲズ。次は君が戦う番だ。」
リオンが剣のような光の刃を掲げた瞬間、ゲズの体が熱を帯び始める。
思考より先に、体が勝手に動く。
――腕を振った。
すると、ゲズの手から青白い稲妻が走り、敵を貫いた。
「な……!?」
「目覚めたな。君の力は“雷の系譜”だ。星の守護者が最後に遺した力……」
ゲズの体は確かに今、変わり始めていた。
恐怖ではなく、使命が胸を貫いている。
「ゲズ。地球はもう元には戻らない。だが、希望は消えていない。
君と俺が、“あの存在”を倒せば……」
「“あの存在”? 侵略者のリーダーか?」
リオンはうなずいた。そして、重く言葉を置いた。
「ヤツの名は――“レル=ザイオス”。星を喰らう支配者だ。」
⸻
地球の運命は、今やただの少年と、かつて星を救った英雄に託された。
この出会いは偶然ではない。
それは運命の螺旋が、再び回り始めた音だった。