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『』… あ な た
「」… 黒 尾 鉄 郎
『………お待たせ』
久しぶりの、君との逢瀬。
嬉しいはずなのに、君の表情は少し曇っていて。
「いや、俺も今来たとこだから」
そっと頭を撫でれば、いつもより熱を帯びているような……。
『………行こっか』
そう言った君の笑顔は、引き攣っている。
「……わりい、言ってたとこはまた今度にしねえか?」
『……え?』
君の瞳が、不安げに揺れる。
「ちょっと付き合ってほしいとこがあるんだよね」
そう言って、向かった先は。
『……なんで、』
鉄郎の家じゃん。
呆然と立ち尽くす君を、寝室へ誘う。
「体調、悪いんだろ……?」
聞けば、君の瞳に涙が浮かんで。
『なんでわかるの』
遂に溢れた一粒を掬い取って、君をそっと抱きしめる。
「……何でだろうな」
まあ、それだけ好きってことですかね。
呟けば、君はぽろぽろと涙を溢して。
『……てつろ、ありがと』
真っ赤な顔で見上げる君に、そっとキスを落とす。
"……そうやって甘えてればいいんだよ"
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