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こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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【3日目】
土曜日、いむしょーのペア配信を流しながらないこは俺の家のソファを占領していた。
膝の上に乗せたノートパソコンを器用に操りながら作業をしている。
たまにしょにだのくだらない冗談やほとけの笑い声につられるように笑みを零していた。
「まろ、昨日の話考えてくれた?」
急にそんな話を振られたのは、あいつらの配信がもう終盤に差し掛かった頃だった。
終わりを予感させるいむしょーの声が室内に響く中、俺は問われた意味が分からず瞬きを繰り返す。
「なんか考えなあかんような話あったっけ?」
俺の返事に、ないこはノートパソコンに落としていた視線を上げた。
「えぇー」と苦笑い気味に唇を歪めて、眉は困ったように下げる。
「メンバー同士で付き合うならどう?って聞いたじゃん。俺と付き合ってよ」
「……あれってそういう話やったん?」
「他にどんな意味があると思った?」
…いや、正確に言うとないこの言いたいことは理解していた。
それでもこいつの発言と発想はいつも突拍子もなさすぎて、毎度真正面から取り合うにはそれなりに心の余裕が要る。
「…言うたやん。炎上の火種は一つでも減らしたい」
「真面目で堅実だよね、まろってホントに」
お前は軽すぎるねん、とは思ったけれど口にしなかった。
人に迷惑をかけない程度に自分が楽しめればそれでいい、そんなポリシーを持つ人間は本当にやっかいだ。
「言ったじゃん、メンバー同士なら炎上のリスクも減るよって」
ノートパソコンをそっと目の前のローテーブルに置き、ないこは唇の端を持ち上げて笑んだ。
妖艶、と人には評されるだろうその雰囲気に飲まれかける。
「俺がまろのこと好きなの知ってるじゃん?」
知ってるよ。言い出したら聞かないうちの社長は、多分この話の終着点を見つけるまで追撃の手を緩めないに違いないってことも。
「まろは絶対その気になってくれない?」
そんなことを尋ねながらも、こいつの声音はどこか楽しそうで。
本当に快楽主義で享楽主義。振り回されるこっちの身にもなって欲しい。
「分かった、じゃあ…」
いつまでたっても一言も返事を返さない俺に向けて、ないこはもう一度にこりと笑った。
何かを自己完結させたかのように頷き、ソファに座ったまま俺を見上げる。
「キスしてくれたら、諦めるよ」
目を細めて楽しそうに笑うないこ。
それを真顔で見下ろした俺は、小さく長い吐息を漏らした。
それからソファに近づき、座ったままのないこの両側に手を突く。
膝をまたぐようにしてソファに乗り上げると、そこで初めてピンクの目が動揺したように揺れた。
「…え」
思わず呟いたないこの唇が、薄く開かれる。
左手をその頬に添えるとピクリと体が硬直した。
そのまま目を閉じ、引きつけられるように俺は唇を寄せる。
「…っ待った!」
触れ合いそうになった瞬間、ないこが大きな声を上げて俺の口を自分の手で押さえた。
直前で防がれたキス。
「…っ何すんだよ!」と喚きながら、ないこは慌てた様子で俺の体を押し戻す。
「何って、キスしたら諦めるんやろ?」
ないこの体から身を離し、俺はソファを下りる。
あっさりとそう答えた俺に、ないこは怒ったように眉を吊り上げた。
「こっちは諦めたくないんだから、簡単にこういうことすんな」
「…社長、大分むちゃくちゃなこと言うとる自覚ある?」
苦笑い気味にそう言うと、あいつは子供みたいにふてくされて頬を膨らませた。