国「あの唐変木!!未だ来ておらんのか!!」
探偵社に国木田の怒鳴り声が響いた。
探偵社
国「太宰の阿呆は何処をほっつき歩いて居るんだ!」
国「やはり川か、、、」
国木田には、『あ!こんな所に良い川が!』と言い乍ら川に飛び込む太宰が想像できた。
敦「でも今日は大雨ですし流石に入水はしないんじゃ」
敦の言う通り現在の天候は雨だ。
国「確かにそうだ」
国「ならば、首吊りか寝坊か、、、」
国「敦、行って来い」
これが太宰の寮の鍵だ。
敦「えッあ、はい!」
敦「い、行ってきます!」
国「あぁ、、、って敦!傘は!」
ガチャ
敦は探偵社から出ると急いで太宰の寮へ向かった。
敦「ええと太宰さんの寮は確かこっちだった様な、、、」
敦(あった)
ピーンポーン
敦(?出ない、中に居るかもしれないし確認しておこう)
ガチャ
敦(鍵が掛かってない?)
敦「お邪魔しまーす、、、」
敦(、、、居ない?)
(太宰さん寮には居ないみたいだし他の所を探そう)
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うずまき
敦「居ない」
川(念の為)
敦「居ない、、、」
公園
敦「居ない」
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本当に何処に居るんだろう?
他に太宰さんが居そうな所と云えば、、、
敦「!そうだ、あそこなら!」
僕は海の近くにある墓に来ていた。
澁澤の事件時、彼が来て墓参りをして居た所だ。
僕が此処へ来た理由は無い。
けど、何となく彼が此処に来て居そうな感じがした。
敦「!居た、太宰さん風邪ひきますよ」
敦「寝てる?」
僕は彼がこんな無防備に寝ている事に驚いた。
敦「?目が赤い」
そう思った瞬間
彼の目から透明な雫が出て来た。
敦「!」
其れで僕は漸く気づいた彼の目が少し赤くなって居る理由に。
そう太宰さんはずっと泣いて居たのだ。
僕が此処に来るより前から______
ザーザー
雨が隠す様に降ってきた。
まるで彼を守る様に。
雨は酷いなぁ、
彼が泣いて居ると言う事実を消してしまうから。
雨は優しいなぁ、
彼が皆に見せたく無い”モノ”を消してくれるのだから。
でも僕は其れを見せて欲しいと思ってる。
“感情“をもっと見せて欲しいと思ってる。
多分皆も。其れは僕達の事を信頼して居る証拠になるから______
其れを皆は”気持ち悪い”と”怖い”と思うだろう。
でも、僕はそうとは思わない。
完璧過ぎる笑みをして取り繕う者の共通点は『分からない』だ。
何が分からないのか。
其れは______
何故人間は泣くのか。
何故人間は笑うのか。
何故人間は悲しむのか。
何故人間は喜ぶのか。
何故人間は恐れるのか。
此れ等が分からないから取り繕うのだ。必死になって。
自分も同じ人間だと、自分を否定しないでくれと心の底から思いながら______
目の前に居る彼も同じ部類だ。
いつも明るく振る舞って居るが時々、感情が抜けた様な無機質な表情をするのは気のせいだろうか?
何故か彼が僕を誰かと重ねて居る様に思えるのは気のせいだろうか?
彼がいつも泣いて居る様に感じるのは気のせいだろうか?
まだまだ思う事は山の様にある。
此の疑問が解ける時が来ればいいなぁ。
そう思いながら苦しそうに歪んで居る顔をする彼の手を握る。
______彼の手はとても冷えて居た。
太宰side
偶に変な夢を見るんだ。
誰かが私に罵声を浴びせて来る夢。
「お前が生きて居るせいで!」
「此の悪魔が!」
こんな風に。
偶に考えてしまうんだ。
もう此方側の人間なのに。此方側の人間に成ったのに。
私がこんな明るい世界に居ても良いのかなって、本当に私は善い人に成れてるのかなって。
凄く怖い全てが怖いし分からない。
私の事を褒めてくれた人。
その人は私自身の事を褒めてくれたていたのか?
はたまた、私の頭脳を褒めてくれたていたのか?
善い人ってどんな人?
いつも笑顔を絶やさない人?
反射的に他人を救える人?
あぁ、今日もまだ、、、
ごめんね。織田作。本当にごめん。
今ぐらいこんな事考えない様にしようと思ってたんだけどなぁ。
やっぱり癖は治らないみたい。
僕はね、、、織田作なら知ってると思うけど完璧な人間じゃないんだよ。穴だらけの人間さ。僕ね、怖いんだ。あの日織田作が死んだ日からずっと。
『何が怖いんだ?』
太「!本当ッ君って言う奴は、、、」
『何が怖い?」
『大丈夫だ。言ってみろ』
太「、、、織田作、僕ね人が死ぬのが怖いんだ」
『そうか』
太「うん、凄く怖かったんだよ君が死ぬ直前君の身体がどんどん冷たくなっていって、、、
あの時以上に怖い時は無かったよ
だって、あの暖かい体温が嘘の様に消えちゃったんだもの」
『其れは心配を掛けたな』
『だが今は何故か太宰と話せて居る。』
『だから言うよ太宰』
『お前は良く頑張ったな』
太「!」
その瞬間頭の上を何かに包まれた。
それだけ。ただそれだけの慣れない行為に僕は目元が熱くなった。
其れと同時に何故か頭も痛くなった。けど其の痛みは一瞬しかしなかった。
太「ッヒック、、、」
『我慢するな』
太「ぅ゛~~~~!ヒック 怖、かったんだ!凄く!認めてくれッる人なんて、、、居なッから!」
太「でもッ!君が!認めッくれた!」
太「、、、織田、作」
『何だ』
太「私を見つけてくれて有難う!」
『!良いぞ其のくらい』
太「ふふっ」
『どうした?』
太「いや〜?いつも通りの織田作だなぁって思ってね!」
太「、、、?」
『お迎えの時間の様だ』
太「そうみたいだね」
太「そうだ」
太「偶には会いに来てね織田作」
『ああ、
太「其れじゃあまたね」
太「、、、んっ」
敦「!太宰さん」
太「あ、つし、くん?」
敦「はい!敦です」
敦「太宰さん、あの」
太「なぁに?」
敦「言いづらいなら答えなくて良いんですが、、、」
敦「太宰さんが泣いてた理由って何ですか」
太「っえ、私、、泣いて、た?」
敦「はい、寝てるときに」
敦「あっすみません言わなくても良いんですけど」
敦「何だか、貴方が泣いているの見てたら自分も何か出来ないのかなって思って、、、」
敦「其れで、思い付いたのが、、、」
太「此れって事?」
敦 コクコク
太「言わないと、、、ダメ?」
敦「お願いします」
太「しょうがないなぁ」
太「実はね、夢の中で友人と出会ったのだよ」
敦「友人って其処のお墓に入っている人、ですか?」
太 コク
太「ずっと会いたかったから嬉しくなっちゃった」
敦「ッ太宰さん!悩みとかあったら聞きますからじゃんじゃん話して良いですからね!」
僕は今にも泣きそうな顔をして居る彼をずっと見て居られる気がしなかった。
彼の顔を見ていると本当はずっと”あっち”に居たかったんじゃないか?と思ってしまうから。
太「ふふっ良い後輩を持ったねぇ、私は」
太「言っておくけど敦君私は”あっち”に行きたいとかずっと”あそこ”に居たかったとか思って無いからね」
敦「!」
敦「太宰さんは何でもお見通しですね」グスッ
太「あっちょ、敦君!何で泣いてるの?!」
敦「安心したからですよ」
太「!ふふふっ」
敦「?」
太「よっこらせっと」
太「まぁ帰ろうじゃないか!」
敦「はい!」
太「ところで敦君」
敦「はい?」
太「傘持って来てないの?」
敦「ん?」
太 クイックイ
太宰さんが指差してるのは空、、、
敦「・・・ああ!今雨降ってるんでしたね!どどうしよ「ドコーン」
太「敦君雨降ってたのに傘持って来なかったから、、、雷神さんお怒りだよ」ププッ
敦「そ、そんな事ありますか?!」
太「あるよ」
敦「ふぇ!そうなんですね、有難う御座います!」
太(敦君、こんな事も信じちゃうなんて、、、逆に心配になって来た)
太「よ、よし!敦君!」
太「今日は何でも奢ってあげようじゃあないか!」
敦「本当ですか!有難う御座います!!!」
コメント
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本当に最高……まじで泣いた゚(゚´Д`゚)゚