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#幽霊
凛道桜嵐 新
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#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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クリスマスイブの夜は、千歳の料理に舌鼓を打った。いいウインナーで作ったポトフ、タコとブロッコリーのバジルサラダ、そして食卓に鎮座する鶏の丸焼き。丸焼きは二人で切り分けて食べた。
「すっごい、皮パリパリで中しっとり」
『ワシ、なかなかやるだろ』
千歳は得意げにした。
丸鶏の中に詰まっていたじゃがいもとマッシュルームも肉汁を吸っておいしく、チョコレートケーキも楽しみ、ずいぶん幸せな夕食だった。
そしてクリスマスの朝。俺が寝ぼけ眼で起きると、ニヤニヤした顔の千歳に言われた。
『おはよう、サンタ来たぞ』
「へ?」
『靴下にプレゼント入ってる』
「え? どゆこと?」
枕元を見ると、いつも使ってる自分の靴下がおいてあって、その靴下がだいぶ膨らんでいる。何これ?
靴下を手に取ってみると、硬い小さいものがたくさん詰めてあるみたいだ。え? 本当になんだ?
靴下の中身を出してみると、おしゃれな小瓶がいくつか転がり出てきた。
千歳が笑いながら言った。
『香水! きつくない香りのメーカーのやつで、お前が好きそうな香りのやついくつか注文したんだ。これでいい男になって、好きな人落とせ!』
「香水!?」
これまでの人生にあまりにも縁のないものだったので、俺は呆然としてしまった。いや、香料になるようなものに関しては多少詳しいんだけど、それは母親のアロマ狂いと化学系の大学出たからだからな……。
でも、俺は思い出した。前に千歳に『好きな香りなんだ?』『嫌いな香りは?』って聞かれたこと。俺は素直に答えて……あ、くどい香り嫌いって言ったからきつくない香りのを選んでくれたのか!
「え、これ全部違う香水なの?」
俺は改めて小瓶たちを見つめ直した。ラベルがどれも違う。千歳は頷いた。
『うん、柑橘の香りとか、木の香りとか、ミントとか、お前の好きそうなの』
うわ、本当に俺の好みに合わせて考えてくれたのか。嬉しい……。
「えっありがとう、試してもいいかな?」
『もちろん』
【snow mint】と書いてある小瓶が目についたので、俺はそれをつまみ上げた。雪とか冬の香りなのかな?
『それは、ミントとシトラスのやつ』
「へえー、じゃあまずこれ試そ」
香水ってどこに付ければいいんだっけ。手首? 手の甲?
とりあえず、俺は香水を手首にシュッと一吹きした。ふわっと香りが立ち上る。
「うわっ、すごいシャープ! あっでもミントの甘い感じ出てきた……リモネン感もある……えっすごいいい!」
たった一吹きで情報量がすごくて、俺は思わず騒いでしまった。
『リモネン?』
千歳は不思議そうに首を傾げた。
「柑橘に共通の香り成分と思ってもらえれば。あっ、この甘いのスペアミントだな。うわー、すごくいい!」
『えっ、お前詳しくないか?』
千歳は、俺が香水に詳しいなんて思ってなかったようで、目を丸くしている。いや、香水には詳しくないんだけども、アロマオイルと共通の原料は使うからね。でもアロマオイルにあんまいい思い出がないんだよな。
「あー、その、化学系の大学って香料も扱うからね。香水は全然知らないけど、原料の香料なら察しが付くこともある、みたいな」
『へえー』
千歳は感心したようだ。
まあ、香料には察しが付くんだけど、それを組み合わせるとこんなにドラマチックな香りになるとは知らなかった。調香師の人ってすごいな。
「他のも試してみたいけど、香り混ざっちゃうから今はこれだけにしとくよ」
『そうだな』
「散歩の時につけてくことにする、日替わりで」
『いや、お前が好きな人に会うときに使えよ!』
「もちろん、それにも使うけどさ」
好きな人とは毎日顔を合わせてるんだよ。香水でいい男と思ってもらうのは望み薄だけど、俺のことを考えて選んでくれたのは、本当にうれしかったよ。
コメント
1件
わあああっ、めっちゃ尊い〜!!😭💕💕 千歳がこっそり好みの香りリサーチしてたんだね、その気遣いがもう恋人すぎるでしょ…! 主人公が香水の成分に詳しくて騒ぐシーン、ギャップ萌えがすごいし、二人の空気感が温かくて、クリスマスの朝が目に浮かぶようだったよ🎄✨ 「好きな人に会うときに使えよ」って千歳に言われてるけど、君の好きな人って千歳じゃないんか〜い!ってツッコミ入れたくなった(笑) 心があったかくなる素敵な話をありがとうございます🌸