テラーノベル
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これはこれは、ある晩のことでございます。
ええ、私が酒を飲み、酔いながら帰っているところです。
ちょっと水が飲みたくなったのです。
それで自動販売機で水を買いますと、左側に何か水溜りのようなものが続いてるのであります。
「雨なんて降ったかな?」
などと思いますけれど、天気は雲ひとつなく、
おまけに月や星が綺麗に映るような珍しい日だったのです。
それで私は酔っ払いが吐いたか、漏らしたか、などと思いまして、
その水溜りを突き進むのであります。
進むとやはり何かがうずくまっています。
「大丈夫か?」
などと声をかけても返事などありません。
さらに近づくと、それはそれはこれは生きた人間ではありません。死んだ人間なのです。
そしてさっきの水溜りは、ええ、全て血溜まりです。
酔いが覚め、これはおおごとだと思い、警察へ連絡しました。
ですが警察が来るまで待機しなければなりません。
少し怖いのです。
この人を殺した殺人犯がこちらにまた来るかもしれないのです。
すると、何か人がこちらへ走ってきます。
私は戦慄し、もうダメかと思いました。
ですがその人は近づくなり、この死体にしがみつき、
「けんちゃん!!けんちゃん!!」
などと叫ぶのです。
事情を聞くと、この人はこの死体の友人だったようです。
それから気の毒だなあ、などと思い、黙って見ていました。
ですがおかしいのです。
なぜこの人はこの死体をすぐに死体だと認識し、ましてや友人だと気づいたのでしょうか、
目が良かったのでしょうか、それとも勘でしょうか、それとも、
この人が殺したのでしょうか、
ですが殺したにしてもなかなか残酷です。
血溜まりが一直線にできるています。
あれ、
この血溜まり、ところどころ掠れています。
何かで引きずったのでしょうか、
あたりを見回しますと、自転車が置き去りになっているのです。
おそらくこの人は友人を殺した後、自転車に紐で括り付け、引き摺り回したのです。
幸い、私の座っている椅子の横に、ナイフが転がっています。
ですが、なんでしょうか、この人が殺したにしては、泣きっぷりが凄まじいのです。
涙ひとつひとつに重みがあります。
その時、彼はこんなことを口にしたのです。
「苦しいかい。」
ああ、人間とは恐ろしいものです。
殺すには飽き足らず、こうして被害者ヅラもできるのですから。
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