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ゆき
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騒ぎから数ヶ月が経ち学園にはいつも通りの日常が戻っていた
生徒たちが笑い合い、廊下を駆け回り、時には能力を使って騒ぎを起こす
そんな光景も今ではすっかり見慣れたものになっていた
けれど――
吉田はずっと悩んでいた
自分の能力について
今までの吉田は自分の能力が危険なものだと分かっていたからこそ一度も使おうとはしなかった
しかし、あの騒動で初めて能力を暴走させてしまったことで気づいてしまったのだ
自分の能力は使い方を間違えれば大切な人たちさえ傷つけてしまうのだと
それ以来、自分の能力がひどく恐ろしいものに感じられるようになっていた
仁人(俺の能力を使えば生徒たちの能力暴走だって止められる)
(この学園で起こる問題だって今よりずっと減らせるかもしれない……)
そこまで考えて吉田は自分の手を見つめた
あの時震えが止まらなかった手
自分の意思とは関係なく周囲のすべてを支配してしまった力
仁人(……だけど)
(もし、また俺が暴走したら……誰が止めてくれるんだ?)
自分の能力を止める方法なんて分からない
あの時は自分が倒れたことで能力が解除された
もし、あのまま倒れなかったら?
もし、今度こそ大切な人たちを取り返しのつかないほど傷つけてしまったら?
考えれば考えるほど胸の奥が苦しくなる
気づけば見つめていた手は小さく震えていた
そんな吉田のもとへ一人の人物が近づいてきた
勇斗「仁人、どうした?」
声をかけられ吉田はハッと顔を上げる
そこにいたのは、恋人の佐野勇斗だった
仁人「……ううん、なんでもないよ」
吉田は慌てて笑顔を作り震えていた手を下ろした
心配をかけたくなかった
これ以上誰かを不安にさせたくなかった
だから、いつも通りに振る舞おうとした
けれど
勇斗「……仁人」
仁人「ん?」
勇斗「何か悩んでるだろ」
その言葉に吉田の表情がわずかに強張った
佐野はそんな吉田を真っ直ぐに見つめていた
勇斗「無理に話せとは言わない、でも……俺には話してほしい」
「仁人が一人で抱え込んでるのを見るのは嫌なんだ」
いつものふざけた様子はなかった
真剣な眼差しに吉田は思わず視線を逸らした
しばらくの沈黙
やがて吉田は小さく息を吐いた
仁人「……俺、自分の能力が怖いんだ」
勇斗「……うん」
仁人「俺の能力を使えばこの学園で起こる能力の暴走だって止められると思う。みんなを助けられるかもしれない」
「でも……」
吉田は俯き自分の手をぎゅっと握りしめた
仁人「もし、また俺が暴走したらって考えると……怖くて仕方ないんだ」
「この間だってみんなを巻き込んだ、勇斗のことだって……傷つけるところだった」
声が少しずつ震えていく
仁人「俺の能力なのに、俺自身がどうすればいいのか分からないんだよ……」
「もし、次に暴走したら……誰も止められなかったら……」
最後まで言葉にすることができなかった
そんな吉田を見て佐野はそっと腕を伸ばした
そして、壊れ物に触れるように優しくけれど決して離さないと伝えるように吉田をぎゅっと抱きしめた
コメント
1件
読了しました……。 吉田くんの「自分の能力が怖い」って気持ち、すごく伝わってきた。一度暴走させちゃったからこそ、使うことへの恐怖がリアルで切なかった。そんな彼を抱きしめた勇斗くんの優しさが、めちゃくちゃ沁みるシーンだったよ。「俺には話してほしい」って真剣な眼差し、二人の関係の深さを感じた。 この不安と向き合っていく物語、ちゃんと見届けたいです。 よすさん、ありがとうございます🖤