テラーノベル
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「お待たせ~!フルーツサンド持ってきた~!」
涼架さんの声が、静かだった僕たちの空間に響く。
レジャーシートに置かれた、かごの中には、色とりどりのフルーツとたくさんのクリームのサンドイッチが、これまた、たくさん入っていた。
「料理人さんに頼んで僕が作ったんだ!」
涼架さんは、料理ができるんだ。やっぱり凄い人なんだな。
滉斗さんがのそっと動いて、おもむろにサンドイッチに手を伸ばした。あ、服つかんでたら動きにくいかな。
「ん、そのままで良い。……うめぇ」
「ほんと!?やったぁ~!」
涼架さんと滉斗さんは、本当に仲が良いなぁ。兄弟って温かい関係なんだな。僕にも兄弟がいたら、何か違ってたのかな……。
「元貴、食わねぇのか?甘いの好きなんだろ」
なんで知ってるの?
確かに僕は甘いものが好き。だけど、孤児院では、甘いおやつはみんなに取られちゃうから、食べれた日は奇跡の日。
「あ、いやその……勘だよ、勘。甘いの好きって顔してる」
「あはは!滉斗の勘はよく当たるんだよ~!僕がこっそりおやつ食べたのとかバレるし」
「それは涼兄ぃの口元に食べかすが付いてっから」
かん……なのかな。でも、何か気になるな。また会えてとか、間に合ってとか。滉斗さんは、僕のこと、僕より知ってるみたいな感じ。家族って、お友達って、相手のことなんでも知ってるものなのかな……。
「まぁまぁ、もとき君も食べなよ!」
涼架さんに渡されたサンドイッチを、1口かじってみる。
クリームの甘いなかに、フルーツの酸っぱいのが混ざって、ちょうど良い。フルーツは、ブドウだった。
「どう?おいしいよね?ね!」
「涼兄ぃ、無理矢理おいしいと言わせるな」
滉斗さんが、僕の顔をみて、少し嬉しそうな顔をした。そして、ふっと笑ったかと思うと、僕の口元に手を伸ばした。なになに、なにするの?
「クリーム、ついてんぞ」
思っていたよりもそっと、滉斗さんの人差し指が僕の唇に触れる。ほら、と見せられた指には、クリームが付いていた。でも、びっくりしたのは、その指をパクッと咥えて、クリームを食べちゃったこと。
「分かる~!クリームって、変なとこに付くよねぇ」
「涼兄ぃも付いてる。左のほっぺ」
「え~?僕のは取ってくれないの~?」
「年上だろ……」
残念~!と言いながら、自分でクリームを取ってパクッと食べる涼架さん。滉斗さん、僕のは取ってくれたけど、涼架さんのは、取ってあげないんだ。なんでだろう。でも、僕だけ特別みたいで、ちょっと嬉しい。
「よかったな……元貴」
え、なにが?どれが?
よかったことがいっぱいだから、どれのことを言ってるのか分からない。でも、滉斗さんの横顔は、僕の思い浮かべてるどれとも違うことを考えてる気がした。
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コメント
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藤澤さん、2人の本当の関係性を知らないのでは⁈ それにしても、実の弟以上の距離感の若井さん… 続き楽しみにしてます!!