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❀視点
打ち上げ会場は、すでに賑やかな笑い声に包まれていた。 アニメの第1話を無事迎え、キャストやスタッフ全員がもう幸せを噛みしめている。
キ「いやー、すごいよな!視聴率16%とかえぐすぎだよな」
❀「ほんとですよ。どうなるかと思って結構緊張しましたけど……」
そんな会話を交わしつつ、次々とグラスが空いていく。 私も気づけば、かなりのペースで飲んでいた。
そして、もちろん。
♧「お前、ちょっと飲み過ぎじゃない?」
やっぱり隣で口出してきた。
❀「全然平気ですけど?」
♧「いや、顔真っ赤。いちごみたい。」
❀「…ほっといてください」
♧「へぇ?じゃあ、試しにまっすぐ歩いてみ?」
❀「………うっるさぁいなぁ…」
言い返したものの、自分でも少しふらついてるのが分かる。それとは反対に黒崎は顔が白すぎる。てか、目元綺麗だなぁ。
…何考えてるんだろ?私。
まぁそれでも、黒崎に突っかかられるとつい意地を張ってしまう。
❀「てか、黒崎の方こそ飲みすぎですよね?」
♧「俺は余裕だけど?酒に無敵だからね」
❀「……ふーん、そうですか」
強がってみせるけど、視界はじわじわとぼやけてきていた。
気づけば、周囲はさらに盛り上がりを見せていた。
ス「黒崎くん、こっちで一緒に飲もうよ!」
スタッフに声をかけられ、彼は少しだけ席を立つ。
その間、私はグラスを傾けながらぼんやりと彼の後ろ姿を見送った。
……なんでだろう。ちょっと寂しい。
普段はあんなに鬱陶しいのに、離れると妙に落ち着かない。
そんな自分の気持ちに気づいてしまいそうで、慌てて残ったお酒を口に運んだ。
それが、完全に飲みすぎだった。
♧「おい、大丈夫か?」
不意に聞こえた低い声。
気づけば黒崎が戻ってきて、私の顔を覗き込んでいた。
❀「…よゆーです。」
♧「嘘つくな。目がトロンとしてるぞ」
❀「……してません…」
♧「はいはい。じゃあ、もう喋んなくていいから。お前、限界っぽいし」
❀「……むぅ」
情けない。
こんな状態を見せたくなかったのに。
でも――
……黒崎の声、落ち着くなぁ。
なんとなく安心して、気が緩んでしまったのかもしれない。
そして次の瞬間、私はふらっと身を寄せてしまっていた。
♧「……っ!」
黒崎の肩に、そっと頭を預ける形になる。
彼の体温がじんわりと伝わってきて、さらに瞼が重くなった。
♧「お、おい……!」
戸惑う声が耳元で響く。
❀「……すみません、ちょっとだけ……」
♧「……いや、別に……いいけど」
黒崎の声が妙にぎこちなくて、思わず口元が緩んだ。
❀「……照れてるんですか?」
♧「はぁ!? 誰が照れてるって?」
「……ふふっ」
目を閉じる私の頭を支えながら、黒崎は不満げに唇を尖らせた。
♧「ったく……」
そう言いながらも、彼の手は優しくて。
……もう少し、このままでもいいかな。
そんな甘い思いに包まれながら、私は静かに眠りに落ちていった。
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今回長めなので視点分けまする。