「僕だけを見て、僕だけを愛して……それが君の幸せなんだから」
︎ ︎︎︎︎︎
囁かれる言葉に、貴女はただ息を詰まらせた。
夜臣の腕は強く、けれど優しい。まるで、決して手放すつもりのない大切な宝物を抱きしめるようなーーそんな感触だった。
「……違う……そんなの、違うよ……」
消え入りそうな声で、貴女は否定する。こんな愛し方、間違ってる。普通じゃない。
だけど、そんな言葉は夜臣には通じなかった。
「違う? 何が?」
夜臣は微笑んだまま、貴女の頬に指を這わせる。
涙が零れそうな瞳を見つめながら、そっと、指の腹でその端をなぞった。
「僕はね、君のことを世界で一番愛してるよ。君のことしか考えられないくらい、大好きなんだ」
「……でも、だからって、こんな……っ」
「こんな、って? 君を閉じ込めたこと?」
夜臣は小さく笑う。
「だって、仕方ないよ。君が、僕のそばにいてくれないから」
「私は……夜臣が嫌いなわけじゃない……でも……っ」
「でも?」
「こんなの……怖い……っ」
絞り出すように告げた瞬間、夜臣の瞳が揺れた。
一瞬、傷ついたような表情を浮かべ、そしてーー
「……そっか、怖いんだね」
ふっと笑みを深める。
「大丈夫、すぐに慣れるよ」
甘く、優しく、狂気に満ちた囁きだった。
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