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今日は良い日だね________
そう言って微笑みながら階段を降りてくる男と
え?…大雨でさっきまで銃向けられてましたけど……
階段を降りながら透明な傘越しに灰色の空を眺め首を傾げる男がいた。一人の名は太宰。太宰治という自殺愛好家だ。誰もが一度は聞いたことがあるだろう。異能力集団『武装探偵社』
太宰もその一員である。もう一人の男の名は中島敦彼もまた太宰と同じ武装探偵社の一員だ。
「何を言ってるんだい敦くん。こんなのいつもの事だろう?」と太宰はきょんとしてみせる。
「確かにそうですけど…」と敦は困った顔をしている。「それに…この川!凄く荒れていて自殺にはもってこいの場所だよ!!」と太宰は興奮気味に喋る。何度も言うが、彼は自殺愛好家であった。そして、普通であれば自殺などつまらないと言って止めるもの。だが彼、彼らは違った。敦は
「死ぬなら仕事を終えてからにしてくださいよ。」と
当然の事のように自殺を肯定した。そう、彼等…
武装探偵社にとって太宰が自殺愛好家であることなど常識なのだ。気づいたら首を吊っていたりする。
太宰曰く自殺は良いが、痛いのは嫌だそうだ。何にせよ初めて見る人は面食らっている。敦も初対面で入水中、という最悪な出会いをしている。だが、その出会いがあったからこそ今の敦がいる。死にかけを助けてくれた太宰は命の恩人とも言えよう(飢えを避けれたのは茶漬けを奢った国木田のおかげだが…)
太宰が「敦くん…立派になったねぇ…」としみじみした様な口調ですすり泣きの真似をしている。
「ホント…慣れてしまった自分が怖いですよ。こんな身近に自殺愛好家が居るなんて…普通じゃない。」と敦は比較的まだ常識の上で生きている方だとでも言う様な口振りでそう喋ると太宰が
「やだなぁ敦くん!君も、というか武装探偵社が普通じゃないだろう」とけらけらと笑って言う。
「そ、…んな事ありません…!!」と図星だったのか、ぎこちない喋り方になった。
「…敦くーん」と太宰がニヤニヤとして呼びかける。
敦は「……何ですか。太宰さん」と嫌そうな顔をして返事をする。
「…国木田君に〜ちょおっと電話してくるね〜」と仕事を邪魔する気満々の笑みを浮かべて電話をかける。
「(…国木田さん。ご愁傷さまです、)」と…敦は諦めたような笑みを浮かべる。…国木田の怒鳴り声が聞こえてきた。
太宰は「五月蝿いよ国木田くーん。鼓膜が破れるじゃないか〜」とふざけた様に電話から耳を離し笑っている。
『おい太宰!!!!俺は今依頼遂行中だ!11時には絶対終わらせて事務に取り掛からなければならん。邪魔をするつもりならすぐに電話を切る!』と真面目な返しが電話から飛んでくる。と…太宰は
「国木田くん…怒鳴りすぎると心臓に悪いよ。早死にしてしまう。」と真面目なトーンで嘘を教える。
『何っ…!?それは本当か!?』国木田は信じた。
すかさず太宰は「ほら早く!メモメモ〜」とにこにことしながら言う。国木田は
『怒鳴り過ぎると早死にする…』と言いながら熱心に手帳に書いているらしい。すると太宰が「…嘘だけど」とくすくす笑いながらそう言うと、国木田は
『仕事の邪魔をするな太宰!!!』と言って電話を切ってしまった。
「いや〜国木田くんはいつも引っかかってくれて楽しいなぁ〜」と満足そうに笑っている。
「太宰さんもよく飽きないですね…。帰ったら国木田さんに締められますよ?」と呆れた様な顔をして太宰を見る。
「でも楽しいから辞められないのだよ敦君」と言ってけらけら笑っている。
「はぁ…よく分かりませんけど。あ…着きましたよ〜」とある山小屋を指さす。ここで人体の売買が行われているらしい。
「こんな普通な場所で売買って…凄いですね」と敦は言う。太宰は「いや、普通であるからバレにくい。如何にもやってそうな場所は選ばないよ…よっぽどの馬鹿じゃないとね」と笑っている。
「確かに…調べようとは思いませんね」と真面目な顔をして返事を返す。
「そうだね〜…鍵は開いたよ。さぁ中に入ろう」と言って太宰は堂々と入っていった。こういう場面で臆さないところはやはり元ポートマフィア幹部であり、武装探偵社の一員らしい。敦も続いて中に入っていった…
「いやぁ実に楽な仕事だったよ」と太宰は山小屋から出てくる。
「太宰さんは何にもしてないでしょう!」
と後から手足を縛られている男3人を担いで来た敦がツッコむ。太宰の異能力、人間失格は触れられた対象の異能力を封じる事が出来る。故に異能力を持たざる者には役に立たない能力。体術はあまり出来ないので敦に任せる他無かったのだ。敦の異能力は月下獣というもので戦闘向きの能力。手の部分が獣化していてその力で男3人を持ち上げている。
「敦くんは強くていいねぇ、その能力は便利だ」と笑っている。
「この力のせいで孤児院から追い出されましたけどね」と敦は皮肉を言う。
「でも追い出されたから私に会えたんだし結果オーライというやつじゃないかぁ〜」と楽しそうに自殺している。…いつの間に…、
「また死のうとしてる…。まぁ仕事が終わったので良いですけどね。じゃあ俺は帰りますねー」と太宰を置いて帰っていく。
「じゃあねー敦くん…って…あれ?」…バキッ
腐っていたのか木の枝が折れた。すると太宰は、「あ。」と言って落ちる。「痛ぁ…痛いよもう!」と言うと敦を追って帰っていく。
「あれ?また失敗したんですか?」と太宰を見て言う「枝が折れてしまったのだよ…腐っていたらしい」と残念そうに溜息をつく
「また明日に賭けてくださいね」と敦は微笑む
「明日は心中するよ」とくすっと笑ってそう答えた。
日常 𝑒𝑛𝑑