俺はどうしても気になって扉を開けた
部屋は本当に城の中か疑うぐらい暗かった
床には無数の刃物が転がっている
きっとこれが沢山の軽い音だろう
じゃあ重い音は?
そう思いながら部屋の中央に目をやった
そこには想像もしていなかった景色が広がっていた
なに、してんだ…?
思わずそう口にした
そこには彼女の姿があった
こっちを見た彼女は驚いたのか
目を見開いて言った
『なんで…ここにいるの…?』
そう答えた彼女
整っていた顔は涙でぐしゃぐしゃになっていて
透き通るような赤い目は黒で塗りつぶされていた
ふと上を見上げると首吊り縄
きっと今まで自殺を失敗したんだろう
それで、重いものが落ちる音が聞こえたんだ
彼女の言っていた言葉
『二度と会わないことを願います』
その言葉は人を嫌っていた言葉なんかじゃない
きっと自分の死を求めていた言葉なんだ
『…』
身分や名前を隠していたのは王の娘だったからか?
そう聞いた時彼女はピクリと反応した
さらに質問を続けた
お前はメイドたちに良い扱いをされてきたのか?
分かってくれる人はいたのか?
そう聞いたとき彼女はまた涙を流す
そうとう我慢してたんだろう
彼女が最後に話した言葉が震えていたのは
死が怖くなっていたのかもしれない
そう思った
居場所のなかった彼女
俺はほっとけなかった
少しの間だけでも感動などを共有したい
笑顔にしたい
それが旅人としての仕事だと思ったから。
あれから早数年
この場所もなかなか心地よい
けど一番はやっぱりあそこだったなぁ…
キラキラして見えた
彼女は生きてるかな、大丈夫かな
そう考えてたら故郷からメールが来ていた
俺宛てに手紙が届いていたらしい
それを今いるところに送ったとのこと
驚いていると確かにポストに入っていた
中を見たとき思わず微笑んでしまった
そこには立派な王女になった彼女…
日帝の写真が入っていた
コメント
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この後革命か戦争が起こるんだろうな
日帝さん…良かったよぉ… (´;ω;`)