いま、何日間、何時間経ったのだろうか。
何も見えない場所で、
助けを求めるうちにいつの間にか、
時間感覚が狂ってしまったようだ。
耳は聞こえる、
部屋の中は見えないが、
手は縛られていて、
足枷が付いていることが分かる。目だけが見えないのだ。
俺は、何故ここに居るのか。
まずは、それを考える事にした。
アイツと喋りながら歩いていた。そうしたらアイツが、
「コンビニ行ってくるわ」
って行って反対方向に進んで行った。
「反対だぞ、そっち」
言っても、
アイツには聞こえなかったらしい。
アイツを待っていて数分、コンビニの方から人影が見えた。
ここは通行人も、車も余り通らない。珍しいなと 思っていたら、
声をかけてきた
「俺、迷子になってしまって…」
「ここまでの道、分かりますか…?」
よく顔が見えなかったんだ。
それが良くなかったのかもしれない。
道を教えたあと、お礼を言われた。
「いいよ。大丈夫、」
「次から迷子にならないようにね〜」
「一応、心配なので付いてきてくれますか」
え?、でも…
ブスッ と何かが刺さった。
なんだ…何が起き──
考えてる内に、
後ろからソノ人に首に手を回されて、
「僕、──のこと、愛してる」
とだけ言われ、意識が遠のいた。
思えば、アイツの声のようだった。
今の状況に戻るとするか。
目だけが見えない。
目隠しかと思い、取ろうとするが、
拘束が邪魔で取れない。
いつタヒぬか分からない状態だ。
ボソッと口に出した。
「ぺいんと、ずっと好きだった。愛してる」
少しでも伝わって欲しかった。
行動、言葉遣い、笑顔すべてが1番、好きだった。
アイツを閉じ込めて、約〇日が経った。
何も見えないのに助けを求めているようだ。いや、
何も出来ないからこそ助けを求めているのか。
少しも後悔はしていない。
役になりきるのも楽しかったからだ。
少し振り返ろう。
アイツと喋りながら歩いていた。
僕は
「コンビニ行ってくるわ」
と言って反対方向に歩く。
アイツが、
「反対だぞ、そっち」
と言ってきたが、問題は無い。
今日、実行するのだ。
着替えて、
コンビニまで遠回りするのは時間がかかった。
でも怪しまれるよりはいいだろう。
通行人も、車も少ない。
今が最高のチャンスだ。
僕は道に迷ったフリをした。
心配だから付いて来てと言っても来てくれなかったから
本当は傷つけたくなかったけれど
強硬手段に出た。
注射針で ブスッ と刺した。
中身はもちろん 睡眠薬だ。
コロしたくは無いからだ。
「僕、らっだぁのこと、愛してる」
言ったって刺した後だ。
よく聞こえなかっただろう。
もう後戻りは出来ない。
僕は手早く
何回もイメトレした事を実行していった。
叫び過ぎて喉も枯れてきたのだろう。
らっだぁは叫ぶのをやめて静かになった。
そろそろ行ってやっても──
「ぺいんと、ずっと好きだった。愛してる」
「…っ!!」
どんどんと顔が赤くなっていくのを感じた。
行ってやっても いや、
愛する人の為に
貴方のもとへ早足で行く。