サイド ユズ
トキお兄ちゃんが、危ない。銃を、突き付けられている。
どうしよう、どうしようどうしようどうしよう!!
体が動かない。縛られていないのに、なんで?!
ユズが、レンお兄ちゃんが、ユメお姉ちゃんが、動けないでいる中、トキお兄ちゃんがふっと体の力を抜いた。
「ありがとう。団長さんたちは外ですか?」
えっ…………え?
ユズはトキお兄ちゃんと銃を持った男の人を交互に見比べる。
「チッ」と男が舌打ちをして、ベリっと顔を剥がす。その顔と髪の色は、リオお兄ちゃんと同じだった。
「……んで分かるんすか」
「声は変えるの大変だよね」
「いやいやいや!結構変わってましたわよ?!」
ユメお姉ちゃんが目を丸くして、ストップをかける。ユズも全然気付かなかった……!
「絶対音感ってヤツですか?!」
「それとはちょっと違うんじゃないかな」
「これだから、音楽家の耳は嫌いなんすよ……」
文句を言いながら、リオお兄ちゃんは突き付けていた銃を渡してくれた。
「団長から伝言っす。合図が出たら伝わり次第思い思いに動いて殱滅していいっすって。怪我とかは……」
「軽傷です!」
「有りませんわ!」
レンお兄ちゃんとユメお姉ちゃんが元気よく言う。
ユズもケガは無いけど……。トキお兄ちゃんは……。
「僕も怪我は無いよ。でも、ちょっとこれ以上動くのはキツいかな。足手まといになりそうだし」
「……了解っす。じゃあ、俺はトキ連れて先外出てるっす。三人は中から撹乱お願いするっすね」
何も聞かず、リオお兄ちゃんはトキお兄ちゃんを連れて出て行こうとした。
「あ、リオさん!これお願いしてもいいっすか?」
そう言ってレンお兄ちゃんが渡したのは……小さい、赤い球?
一体なんなんだろう?
「試作品のトラップです。いくつか置いといてくれませんか?」
「……天才っているんすね。これを踏まないよう伝えておけばいいんすか?」
リオお兄ちゃんの言葉に、レンお兄ちゃんはしっかり頷いた。
「あ、伝え忘れるところだったっす」
瞬間、リオお兄ちゃんはダイキ兄の姿になる。
「『手加減不要だ!俺たちを敵に回したこと、後悔させてやれ!!』」
「分かりました!」「化け物上等ですわ!」「もちろんだよ!」「任せていいかな?」
もう、ユズは逃げない!!
もう一度、ううん、今度はみんなと幸せになるんだ!!
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