テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#聖女
桜井正宗@オートスキル1巻発売
7,377
アトハ
153
#内政
黒おーじ
906
ゆゆ

101
423
「天運は我らにあり! 今こそ、六辻家を簒奪した剛浚を引きずり下ろし、実権を詠ちゃんにとり返すチャンスなんだ、なっ!」
西暦二〇X二年八月下旬。
冒険者組合代表、獅子央孝恵は、ぽよんぽよんとお腹を揺らして、〝鬼の力〟の悪影響を祓うダンスを最前線で披露しつつ、クーデター勢力を鎮圧すべく次々と手を打った。
「戦闘力のない総大将が、こんな危険なところに来ちゃって大丈夫なんですか?」
「ま、まあ、モグラのように引きこもって酒池肉林に明け暮れていた六辻剛浚よりは頼りになるんじゃないか」
「あのヘタクソなダンスも〝鬼の力〟の悪影響を祓えているみたいだし、見ていると味があるというか、元気が出てきますよね」
孝恵が自ら危険な場所まで飛び込んだのは、冒険者育成学校の子供たちに大役を押し付けた彼なりの贖罪と義侠心ゆえかもしれない。
ともあれ出雲桃太が代表を務める冒険者パーティ〝W・A〟が、代表の七罪業夢を倒したことを皮切りに……。
冒険者パーティ〝W・A〟の助っ人として抜擢された、東平孔偉、幸保商二といった別働隊の面々が、〝朱蘭、亜大、道楽の三人を除く〟七罪家とテロリスト団体〝K・A・N〟の旧指導者層を逮捕し、壊滅させた。
「新しい勇者、出雲桃太と冒険者パーティ〝W・A〟が、また助けてくれたぞ!」
「「ありがとう!!」」
クーデター軍による銀行強盗や商店街への襲撃など、様々な暴挙に怯えていた世論は、この活躍を見て歓喜に包まれ快哉を叫んだ。
「あちゃあ。吾輩達、冒険者パーティ〝G・C・H・O〟は、クーデター軍の本拠地、〝三連蛇城〟のひとつ、〝禁虎館〟を落として先行していたはずが、あっという間に〝W・A〟に名声で追い抜かれちまったね」
額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太が冒険者パーティ〝W・A〟を結成して一ヶ月。
誕生したばかりにも関わらず、数々の武勲をあげた最も新しい勇者の話題は、日本中を席巻していた。
「他に頼る者がいない、獅子央の坊ちゃんが力添えしているのもあるだろうが……。桃太クンがいくらカムロの愛弟子といえ、まさか初陣でクーデター軍の首魁、七罪業夢を討つとは思わなかったネ!」
クマ国の反政府組織〝前進同盟〟の統率者であり、同時に、冒険者パーティ〝G・C・H・O〟のスポンサーであるオウモは、状況の急速な変化についていけず、紫色の作務衣姿でホバーベースの一室で頭を抱えていた。
彼女の眼前にあるパソコンには、地球上で情報収集中の同志から送られてきた、〝桃太 対 吸血竜ドラゴンヴァンプ〟を録画した動画が映し出されている。
「快刀乱麻を断つような、竜の首を落とす決着の一撃。見事だ、トータ。それでこそ私のライバルだ」
「ヒャッハァッ。さすがは俺様の恋敵だぜ。鮮烈デビューでリードしたつもりだったが、簡単には勝たせてくれないか」
「黒騎士が出雲桃太をライバルというのはわかるでち。でも、満勒はまず意中の祖平遠亜からかけられた、ストーカー疑いをはらすところから始めるでち」
そして、同室では桃太の親友である呉陸喜こと黒騎士や、鉛色髪のマッチョ青年、石貫満勒。彼の〝鬼神具〟である日本人形に化けた少女、ムラサマも、ダンジョン内でも機械動作を可能とする特殊な結界の中で、パソコンからホワイトボードに投影された映像を見て、ああだこうだと盛り上がっていた。
――――――――――
あとがき
第六部は、桃太の親友であり好敵手でもある黒騎士と、石貫満勒ら〝G・C・H・O〟の視点で進みます。
ライバルパーティの活躍もお楽しみに。
コメント
1件
おお、ここで黒騎士たちの視点から桃太の活躍が伝わる流れになったか!個人的に黒騎士(陸喜)が桃太を「ライバル」って認めてるのが熱いな。親友であり好敵手、その距離感がちょうどいい。クーデター鎮圧のプロセスもスピード感あって、竜の首落とすシーンは脳裏に浮かんだわ。次はライバルパーティ側の動きも見たい。楽しみ!🔥