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氷河の永夜

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氷河の永夜

6 - 第6話 愛と別れ

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2024年04月25日

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日本国 EEZ排他的経済水域

北緯20度25分、東経136度04分

沖ノ鳥島近辺にも、巨大な氷塊雲が出現し沖ノ鳥島付近の近海は完全に凍っていた。その凍った海域に1隻の船が氷に包まれ凍っていた。海上自衛隊、‪”‬艦番号115‪”‬護衛艦あきづきである。あきづきの艦内も完全に凍りつき、乗組員達も凍死していた。あきづきの艦橋も凍っていた。その中に、赤い椅子に座った自衛官がいた。あきづきの艦長、紫呉艦長である。紫呉艦長は片手に娘の写真を持ったまま、凍死していた。割れた艦橋の窓から冷たい風が吹き付け、艦長が手に持っていた写真は窓から飛び出しあきづきから離れ遠くの空へ舞い上がっていく。

青森県 つがる市

北町中学校 臨時避難施設

1人の髪の長い女子大生が避難施設の窓から外を眺めていた。彼女は紫呉艦長の娘、紫呉姫奈ひめなだ。

姫奈「……」

春夏「よ!姫奈!」

姫奈「わ!?」

ぼーと空を眺めていた姫奈の背中に手が触れる。

姫奈「なんだ……春夏はるかか……脅かさないでよ……」

春夏「ごめんごめん〜ぼーと空見てたから何考えてたのかな〜って!」

姫奈「お父さんの事を考えてたの。」

春夏「えっと……確か姫奈のお父さんって自衛官だったわよね?」

姫奈は春夏の声に頷き言葉を返す。

姫奈「あきづきって護衛艦の艦長。今日本を離れてるから…大丈夫かなって……」

春夏「きっと大丈夫よ!絶対会えるって!」

姫奈「そうだよね……なんか元気出たわ。ありがとう!」

春夏「えへへ…!それなら良かった!ちょっと避難施設の人手が足りないから手伝ってって言われてるからもう行くね。」

姫奈「あ!私も手伝うよ!」

春夏は嬉しそうにする。

春夏「ほんと!ありがとう!じゃあ行こ!」

姫奈「うん!」

2人は横になって、避難施設の中を歩いていく。

岩手県 青森方面高速道路

修也たちの車は、渋滞にハマっていた。辺りにはクラクションが鳴り響き完全に膠着こうちゃく

父「もう何分止まってるんだ…早く青森に行かないと行けないのに……」

修也「それに、辺り真っ白じゃね!?」

琴音「うわー…猛吹雪じゃん……」

車の外は完全にホワイトアウトしていた。その時、うるさいほどなっていたクラクションがなりやむ。

修也「……ん?」

修也が窓の結露を手で拭き、外を見つめる。

バンッ!

修也「うぉ!?」

ガラスに、人の手がぶつかってくる。外では車から次々と人がおり、渋滞の向こうに走って行っている。

父「!!」

修也が後ろのフロントガラスから後ろを見ると、後方から車や高速道路、草木が凍ってきていることに気がつく。

修也「父さん!やばいよ!後ろから凍って来てる!」

父「何!?お前ら!早く車を降りろ!」

4人は慌てて車から降りる。荷物を取ろうとする琴音を父は止める。

父「琴音!荷物はいいから早く行くぞ!」

琴音「でも…!あのリュックの中には友達との思い出が……ッ!」

父は琴音の両肩に手を置き真剣な表情で琴音の面を見る。

父「今自分が優先すべきなのは自分の命だ!ここで死んだら…琴音の友達はどう思うッ!」

琴音は父の声に少し泣きながら頷く。

父「よし……、走るぞ!」

父は琴音と一緒に先に行っている修也と母を追う。その時、修也の隣で走っていた母が雪で埋もれていた石に気が付かず、派手に転ぶ。

修也「母さん!」

修也は母に寄り添う。しかし、頭を打ったせいか、母は気を失い頭から血を流していた。

父「修也!母さんは!?」

修也「き、気を失ってる!」

父は修也の両肩に手を置く。

父「俺が母さんをおぶっていく!お前は姉ちゃんを連れてこの先のトンネルに迎え!」

修也「え!?と、トンネルって言ったって!」

父「高速道路のトンネルには非常口があるはずだ!そこに迎え!俺もあとから母さんを連れて行くから!」

琴音「お父さんとお母さんを置いて行けるわけないじゃん!」

父は微笑み修也と琴音に抱きつく。気温が下がる中、父の体温はより一層温かく感じる。

父「大丈夫だ……絶対あとから追いつくから……先に行ってくれ……」

修也「……分かった…」

父は修也の声に頷き修也の頭を撫でる。

父「修也……大きくなったな……」

父は修也の頭を撫でながら琴音の頬に手を置く。

父「琴音も……すっかり美人になったな……」

この時、修也と琴音の頬には涙が流れていた。父は目を閉じ複数回頷いた後、母の応急処置を行い始める。

修也「いこう……姉貴……」

琴音「……分かったわ……」

修也と琴音は父に背を向け走って行く。父は涙を堪えながら呟く。

父「……死ぬなよ……2人とも……ッ!」

修也と琴音は必死に走り、高速道路のトンネルまで来ていた。トンネル内も車が渋滞したまま放置されており、車が並んでいた。修也と琴音はトンネルの1部に、非常口と書かれた扉を見つける。

修也「ここだ……」

琴音は扉のドアノブに手をかける。しかし、開かない。

琴音「え?なんで開かないのよ!?」

修也「もしかしたら…このトンネル古いから当分誰も開けてなかったのかも…ッ!」

その時、トンネルの入口の方から凍りつくような音が聞こえる。

修也「……!やばい!」

修也は扉の横に置かれていた消火器を手に取り、消火器の後部を扉にぶつける。

修也「おりゃッ!おっりゃッ!この…ッ!……開けッ!!」

バコンッ!

その時、扉が勢いよく開く。

修也「姉貴!早く入って!」

琴音「で、でも!まだお父さんとお母さんが!」

修也「もうどこかに避難してるはずだ!早く入って姉貴!」

修也は琴音の腕を掴み、非常口に入る。しかし、琴音は叫ぶ。

琴音「いやッ!お父さんッ!お母さんッ!!」

修也と琴音が非常口に入った瞬間、風により非常口の扉は勢いよく閉まる。その勢いで修也と琴音は非常通路の扉の前で倒れ、気を失うってしまった。

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