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syp視点
ちいさなガキやな、と思った。
自主練でもしたんか、少し汚れている肌と服。
銀髪の珍しい髪色の癖っ毛も、ボサボサや。
自分より大体5、6個下やろか。
まだ小さな体で俺を見上げてくる。
我ながらめんどくさい仕事を受け持ってしまったみたいやった。
【俺の頼み、聞いてくれたら幹部昇進な!】
利害が一致したとはいえ、部長は何を頼むかなんて大体碌でもないんやから察知すべきやったのに。
「、、、ショッピや。」
じっと見つめてくるコイツに、とりあえずと思って名前を告げる。
お前はなんて言うん?
と目配せしてみると案外、それを素直に察知したのか
「レパロウともうします。」
なんて丁寧な返事が返ってくる。
「、、、、」
会話、おわってしもたんやけど。
どうすんねんコレ。
と思っていたら
「ショッピさんは、コネシマさんのお友達ですか?」
と尋ねられた。
お友達、な。そんなんちゃうねんけど。
「大体そんなところやな。友達というより、俺は部下やけど。」
「なるほど、、?」
いまいちピンと来ていないらしい。
幹部になりたい言うて訓練してる子供がおる
それはコイツで間違いないんやろけど、軍の仕組みとかはわからへんねんやろな。
「,,,そういえば、お前今幾つや?」
「えっと、11歳です。」
「11にしてはしっかりしとるな。」
俺が17やから、6個下か。
「、、お前はなんで幹部になりたいん?」
いくら6個下のガキでも、やっぱ話さへんのは気まずすぎるわ。
と思ってとりあえずありきたりな質問で会話を繋ぐ。
部長から、ほんとになんとなくだけこいつの概要は教えてもらっといてよかった。
「えと、、、あ、、、、」
と、恥ずかしいんか、言いづらいんか知らんけど、もごもごしている。
と思えば口を開いて
「、か、かっこいい人がおったんです。ぼくも、そうなりたいなって、おもって。」
「かっこいい奴なんておらへんけど。」
かっこいい?
部長はちゃうやろ。
統領とか、ロボロさんひとらんらんさんは怖い寄りやろうし、パッと浮かぶ鬱先生も、クズやと有名。
ちょい前に入ったあの図書館の人は、最近すぎるからちゃうやろな。
外交官と人と、新人教育しとった幹部様はかっこいいと言うより可愛いて言われとる。
俺は思わんけど。
戦闘力で言うならゾムさんか。
いやでも、あの人国内では基本隠密やから見たことあらへんやろ。
どう考えてもおらんくて、一体誰に憧れたんかわからん。
「一体だれや、、、」
と言いかけて目の前の子供に目を向けると、お腹を抱えてプルプルと笑っとった。
「俺、別におもろいこと言ってへんけど。」
そいつは顔を上げて、目尻を拭きながら
「ちゃうんです。ただ、キッパリ言うたのにびっくりして、なんだか笑ってもうて。」
なんて言った。
ずっと大人びて、緊張しとったみたいやからけらけら笑う姿が相応で安心した。
「ショッピさんは、どうして軍に入ったんですか?」
緊張が一気に解けたんか、
さっきまでの緊張してた声色が和らいだようで、落ち着いとった。
「そんなん、1番稼げるからに決まっとるやろ。」
すると豆鉄砲喰らったみたいになるが、
「幹部になりたいと、思ったりしないんですか?」
と、尋ねてくる。
「なりたい思ったことはあらへんかった。最近まではな。
俺は、お前みたいにカッコよくなりたいとか、憧れの人がおって、みたいなご立派な思い持って軍に入っとるわけじゃない。」
少し困った顔をするそいつをよそに話を続ける。
「、、、でも、待遇には興味あんねん。
個室がもらえたり、今より自由に動けたり、俺はそういう自由が欲しい。
お前ほど強い思いじゃあらへんけどな、それだけで目指すやつもおるんやで。」
軍に入った理由は、本当にそれぞれ違う。
英雄になりたい、誰かを守りたい、かっこよくなりたい。
自分みたいにいい稼ぎだからとか、誰にも劣らない強みがあるからだとか
そもそも信念がない奴もおる。
「お前は、自分よりも強い奴がくだらん信念しか持ち合わせとらんかったら、どう思う。」
ちょっと幹部様に気にかけてもらえてるからって、調子乗んなよ。
基礎練来ないくせに、実践練だけ来て、なんで真面目に努力してる俺の方が弱いんだよ!
脳裏に過ぎる過去の対話。
才能の限界、或いは天才と自分の力の差。
努力じゃどうにもならない根幹に、絶望して辞めたやつはごまんとおる。
絶望する側なんか、させる側なんかそこは今はどうでもええ。
どっちでも折り合いをつける覚悟が要る。
その覚悟を、お前やったらどうつける?
rp「、、いいんじゃないかな、とおもいます。」
「、、かなしいとか、そういうんはないんか。」
rp「さっきのショッピさんのお話を聞いていて、軍にいたい理由も、幹部になりたい理由も、みんな違うんやなって。
、、僕は全員が憧れて入っとるって思っとった。
でも、もし僕がその相手にいらついてまっても、それは僕が強くなればええだけやと思います。
幹部になるには、最終的には勝たなきゃあかんから。」
「やっぱお前、子供離れしとるわ。」
そう言うと、
、、レパロウも顔が綻んだ。
*
「仲良しやんけ!」
「おるんやったら早よ言うてくださいよ。」
木の上からこちらをみる部長。
部長の存在は気づいたのはあの会話を終えて、少しレパロウの動きを見てからのことだった。
今は、俺が休憩しろ言うたから水飲ませに孤児院に戻らせとる。
「どや、あいつ。」
「どうもこうもないっす。」
相変わらずやなぁと豪快に笑う部長。
「で、なんなんすか。本来の要件。ここに連れてきて会わせたからにはあいつ関係なんやろうけど」
すると思い出したかのように
「あぁそうやったな!ショッピくんに頼みたいのは、、、」
「レパロウの出生及び経歴。
端的位に言うと、 身辺調査 やな。」
*
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