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28. ◇別居
新しい家のことは当分夫には知らせないつもり。
本当なら子供たちがせめて成人に達するまでは別居という形で、
夫婦で暮らすのもひとつの方法かなとも考えないわけではなかったけれど、
籍を抜くことで夫とは赤の他人同士になり、すっきりしてしまいたいという
衝動には勝てなかったのだ。
不倫を許し、互いに一生を添い遂げたいと思うほど
私は夫を必要とし、とても愛していたのだ。
けれど夫はそうではなかった。
私をいつまでも欺きながら、毎日平気な顔で私を愛している振りで
暮らしている夫の顔を見続けている内に、私は自分の心の中からすっかり
夫への愛の欠片までも失くしてしまっていることに気付いてしまった。
夫に対する今の気持ちに名称をつけることは難しい。
かつてない孤独と悲しみを経験したことに間違いはない。
裏切られても尚、大きな愛を夫に与えられるほど私はできた人間ではない。
愛していたからこそ、それは難しい。
いずれ哀しみが憎しみに変わるかもしれない。
京平といた時間が私に力をくれたように思う。
あの時間、私は自分で自分を抱きしめ、心を癒していたのだと思う。
だから、ドス黒い心の闇をこの胸に住まわせることもなく
今日まで生きてこれたのだ。
夫には一生分からない痛みを私は味わった。
本当に辛く苦しい痛みだった。
#不倫
#離婚
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