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コレ、ひまわりの花言葉に「偽りの愛」とか「裏切り」があるのが、また怖いですよねえ………。空から見てた類が、「司くんからの愛は偽物だったんだ」と勘違いしてしまいそうなのが辛い。司と容姿が似ていたという理由で、司が自分を責めてしまいそう……😭😭
⚠注意事項⚠
・類司、司類どっちとも取れる内容になっている(と主は思っている)ためややこしい
・司くん視点で話は進む
・死ネタ←大事!!!!!!
・キャラ崩壊はお決まり
・もしかしなくても急展開かも
・段々文章書く能力が薄れてて泣きそう
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「僕、死んだら花に生まれ変わりたいな」
春の陽気に包まれた朗らかな昼休憩には似合わない言葉
オレ達は春の花々に囲まれ優雅なランチタイムを過ごして――いるわけでもなく、春でも景色の代わり映えしない屋上で弁当を開いていた
「お前、そんなに花が好きだったのか?」
「そんなに、と言われるほど花の話したかい?」
「話題にはあまり上がったことはないがお前、2年連続で緑化委員だろう。しかもちゃんと世話もサボらずに季節ごとに素晴らしい花を咲かせている」
「ふふ、そう言ってもらえると手塩をかけて育てたかいがあったかな」
類は褒めてもらえたのが嬉しかったのか少し上機嫌でサンドイッチのフィルムを剥がす
「司くん、君のその唐揚げと僕の野菜ミックスサンド交換しt……」
「今日は咲希が作ってくれた弁当だから無理だ」
「そんな……」
オレがいつもの弁当交換を断るとさっきまで上機嫌だった表情は一気に悲しそうな表情に変わる
その姿がまるで犬の様に分かりやすくて思わず笑ってしまう
しかし、今日は週に2回の咲希の弁当
愛する妹が作ってくれた弁当はいくら恋人だとしても易易と譲れるものではない
「こうなることも予想してなぜ野菜だけのサンドイッチを買ってくるんだ…コンビニだったら野菜サンドの他にもたまごサンドとかあるだろう?」
「…司くんの鈍感男」
「なっ…なぜオレが怒られるんだ…?」
そんな疑問も無視して類は床においていたショー道具をメンテナンスし始める
野菜サンドは食べるのを諦めるらしい
流石に昼食なしで残りの2限を過ごさせるのは一連を見ていたこっちも心配になる
はぁ、と1つため息をこぼして卵焼きを箸でつまむ
「類、口開けろ」
「ん?…むぐっ!」
オレの言われたとおりにぱかっと開けた類の口に卵焼きを突っ込む
「咲希特性の卵焼きだ!唐揚げはやれんが、こ、恋人特価でそれを1個やる///」
類はキョトンとした顔をしながらもぐもぐと卵焼きを咀嚼したあと、ありがとうとニコッと笑って作業に戻った
「よし、できたよ」
「何を作っていたんだ?」
「前のショーに使っていた花びらを出す機械さ。さぁ、試運転と行こうか」
そう言って類はスイッチを押す
するとポンッ!と音がしたあと水色の花びらが宙を舞った
「おお~、きれいだな!それにいい匂いだ」
「普段は作り物の花びらだけど今回は折角だし僕の担当の花壇に落ちていた花びらを使ったのさ」
「この時期はなにが咲いているんだ?」
「そうだね、今の時期だと勿忘草とかがきれいに咲いているかな。ほら、下の勿忘草がいっぱい咲いている花壇、僕のだよ」
そう言って類はフェンス越しから花壇を見下ろす
オレも隣に立ち見下ろすとそこには一面の青が広がっていた
「快晴の青空みたいで美しいな」
「司くんって意外とロマンチストだよね」
類はそう言ってオレの頭を撫でる
慣れない感覚にくすぐったさを感じていると類の手には勿忘草の花びらがあった
「ついてたよ」
「あぁ、ありがとう」
反射的にその花びらを類から受け取って眺める
まるで青空を取ったような美しい花びらだと言ったら類にまたドヤされるだろうか
「そう言えばもうすぐ桔梗が見頃だよ、まだ蕾だけどきれいに咲いたら司くんに1番に見てもらいたいな」
「それは楽しみだな」
桔梗、夏にかけて見頃になる花で花言葉は確か…
「こらー!神代、天馬ー!あの爆発音と花びらはお前たちかーー!!」
「うぉ、先生だ!」
「ふふ、恒例の追いかけっこが始まりそうだね」
「オレは好きで巻き込まれているわけじゃないぞ!?」
「ほら、捕まりたくないだろう?走るよ司くん!」
「あ、おいっ!!」
「…なんてこともあったな」
初夏、快晴の青空、背中に流れる汗、屋上でオレは1人、過去の記憶を懐かしむ
部活をする生徒の声、居残って教室で騒ぐ生徒達、気の早い蝉の声、こんなにも騒がしいものが沢山あるのに音がたりないと心がざわめく
今日もまた、爆発音も先生の怒号も聞こえない
当たり前だ、それを起こす犯人はもうこの世にいないのだから
「大切な、時間だったんだなぁ」
ワンダーランズ×ショウタイムの演出家でありオレの恋人だった神代類は死んだ
交通事故というなんのひねりもない悲劇で彼の人生は幕を閉じた
類は何も悪くない
信号無視のトラックに気づかず横断歩道を渡っていたオレと容姿がそっくりの少年を助けただけ
「類のしたことは正しい、オレがその立場だったら同じことをするだろう」
オレは靴を脱ぎ綺麗に揃えたあと、手に持っていたひまわりを置く
「中々に大きいから家から持って来るの苦労したんだぞ」
自分で勝手に持ってきたのにと言われそうだが、勝手に先に行ってしまったのはそっちだ、文句は受け付けない
屋上の床は夏の日に長時間さらされているからか足がやけどしそうなほどに熱く、早く足を離したい一心でフェンスに手をかける
一段、また一段と上まで登りきり腰を掛けると想像よりも高い景色に一瞬怯んでしまうが、これでいいのだと ポケットから1枚、青い花びらを取り出しそっと口づける
「類、今からそっちに行くからな」
すぅ…と深呼吸を一回
空を飛ぶように、オレは屋上から飛び降りた
ふわっと空を飛べたような感覚がしたのも一瞬、体は重力に従って落ちていく
さっきまでいた屋上を見ると遠ざかっていくフェンス越しに誰かがいた
あれは、誰だったのだろうか
ドン、と鈍い音とともにオレの意識は完全に消えた
「ん……」
意識が浮上する感覚
オレはどうやら死ねなかったらしい
目を開けるとそこに映されたのは紫色だった
「っ…る、い…?」
ぼやけた視界ではそれがなにかは分からないが、反射的に口からこぼれた恋人の名
頭の鈍痛とともに視界もクリアになってくさなか見えたのは
「……ききょう、」
「そう言えばもうすぐ桔梗が見頃だよ、まだ蕾だけどきれいに咲いたら司くんに1番に見てもらいたいな」
「そうか…きれいに、咲いたんだな…」
そう手を伸ばした時、ふと思い出した
あの時思い出せなかったこの花に込められた想い
桔梗の花言葉は…
「『永遠の愛』」
「お前は、最後に…伝えてくれたんだな」
遠くから騒がしい声が近づいてくる
オレの様子を見ていた誰かが助けを呼んだのだろう
「類…いつかその返事をもう一度するからあと少しだけ待っていてくれ」
桔梗→永遠の愛
勿忘草→私を忘れないで
ひまわり→貴方だけを見ている