初夏の匂いがする頃 僕は君に尋ねた。
「僕の事好き?」
「いいえ、」
彼女はそう答えた
「絶対好きにさせるから!」
君は炭酸水の泡が弾ける様な小さな声で
「好きにしたら。」
とだけ言って去っていった
真夏。
蝉も鳴いていて蒸し暑いの
だけど、君の周りだけ冷たい空気が漂っている
夏休みに入った
君と話したくなった
彼女の連絡先が手に入った
まだ連絡もしていないのに、
僕の心臓は高鳴るまま
そっと、
「今、時間空いてる?」
と、だけ聞いた
なかなか既読がつかないようだ
「忙しいのかな、」
何日か経ったあと「ごめんなさい」とだけ返信が来た
連絡をしても返信が来なかった
早くて2日、遅くて1週間
忙しいのか冷たいのか分からない
でも、それでも僕は君のことが好きだった
苺の香りがした
桜も綺麗に咲いていて、入学式が終わった後桜並木を通りかかった
そこに誰か立っていた
髪に揺れる美しい髪
肌が透き通っていて、、
一瞬目を擦った。
でも、人がそこに居たんだ
それは君だった
なんの取り柄もない僕だけど
君に恋をしてしまったんだ
あまりにも冷たいものだから嫌ってるのかと思う時もあった
もともと君は男が無理なんだろう?
分かっていても諦められなかった
そんな夏休みを過ごし
季節は秋
だというのに暑かった始業式
君の姿が見当たらない
まあ、そんな時もあるのかとただただ思っていた
でも君の姿はまるっきり見ていない
流石におかしいと思った
連絡はした
けど、答えになる様な回答はかえってこなかった
月はもう11月の初めの頃だという
君に会いたい
その一心だ
僕は君を病院内で見つけた
たまたまだった
金木犀が香る頃、僕は君に尋ねた
「僕の事好きですか?」
車椅子に座る彼女は黙り込んだままだった
コメント
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好きだわこういうの、てかよく思いつくな