青水集

『動画に残して』

注意書きは第一話をご覧下さい。

水side

水「え……乳がん…ですか…？」

医者「はい…それに結構危ない状況です。今すぐに入院してください」

水「そんなっ……」

この日、癌だと診断された。

ガララッ

青「水！」

水「青くん…」

青「先生から話は聞いたで…」

青「乳がん…なんやろ…？」

水「うん……治療に専念するなら、お腹の子は諦めろだって…」

そう、今僕のお腹の中にはもう少しで産まれる子供がいる。

水「だから僕、子どもを優先することにしたの」

青「はｯ…！？なんでや！？なんで自分を優先しないん！？」

水「だって、僕のせいでこの子を死なせたくないんだもん…」

水「青くんも…1人になっちゃうけど…よろしくね」

青「ｯ…いや…いやや…いなくならんといて…ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ」

水「ごめんね…ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ」

それから僕は治療をしながら子供を産む準備をした。

そして＿＿

医者「おめでとうございます！元気な男の子ですよ〜！」

水「…かわいいなぁﾎﾟﾛﾎﾟﾛ」

無事に男の子を出産した。

それから3ヶ月後

青「ほら水、冬淹(ふい)やで」

水「冬淹……冬淹はもう…首はすわった…？」

青「まだやで。やけどもう少しや」

水「そっか…」

水「……ねぇ青くん」

水「僕…多分もうすぐだと思うの……」

青「！！」

青「もうすぐって……？」

水「僕がいなくなったらこの子のこと、よろしくね…」

水「あと……そこにあるダンボール…全て手紙なんだけど…」

水「年齢が書いてあるから…冬淹がその年齢になったら…読ませてね……」

水「それと…青くんも…必ず幸せになってね……」

青「…っ水…ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ」

その1週間後、僕は旅たった。

青side

水がいなくなってから約20年。

今日は冬淹の誕生日だ。

ガチャッ

冬淹「ただいま〜」

青「おかえり。誕生日会楽しかったか？」

冬淹「おう！久しぶりに会って盛り上がった！」

青「そっか。さっ、手洗ってきな」

青「母さんからの最後の手紙、読むやろ？」

冬淹「うん」

青「はい」スッ…(手紙を渡す)

冬淹「これが最後の手紙か…」

水が渡してといった手紙。それは毎年冬淹の誕生日に渡して一緒に読んだ。水はまるで傍にいるかのように思わせる書き方で、読んでいると涙が出そうになる。

そんな手紙も、今日が最後。

去年ダンボールを除くと最後の来年が最後の1通ということがわかった。

時間的にきっと20歳までしか書けなかったのだろう。

冬淹「読むよ？」

青「あぁ」

『冬淹へ

20歳の誕生日おめでとう！ついに20歳になったんだね〜。お母さんとして鼻が高いよ。

楽しく過ごしてる？お母さん、冬淹の成人した姿見たかったな〜。ずっと空から見守ってるからね。

彼女作って、結婚して、幸せになるんだよ！！手紙はこれで終わっちゃうけど、これからもずっと笑っててね。大好きだよ。

お母さんより』

冬淹「母さん…ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ」

冬淹「俺さ…母さんのこと写真でしか見たことないけど、優しくて、元気で、いつも笑ってる印象なんだﾎﾟﾛﾎﾟﾛ」

冬淹「俺も1度、母さんと話したかったなぁﾎﾟﾛﾎﾟﾛ」

青「冬淹…」

冬淹もそんなふうに思ってくれてたんだな。

冬淹「…ん？封筒の中になにか入ってる…」

青「？」

冬淹「なんだこれ…SDカード？」

青「ちょっと見てみるか」

冬淹「だな」

そして、そのSDカードをパソコンへ差し込んだ。

水『久しぶり青くん！元気にしてる？』

青「水…」

水『あっ、このビデオ冬淹には見せないでね！？恥ずかしいこと言うから！！ 』

冬淹「やだ見るw」

青「おいっ！w」

水『まずは冬淹を育ててくれてありがとう』

水『青くん、他の人と結婚したのかな？』

青「してるわけないやろ…w」

冬淹「父さん、母さん一筋だもんなw」

水『きっとしてないだろうなぁw冬淹がお母さんいないと寂しいって思うかもだから、してほしいっていうのもあるんだけど』

水『やっぱり僕としては他の人を好きになって欲しくないっていうか？//まあ？どっちでもいいんですけど？？』

青「どっちやねんw」

水『……ま、本音を言うともっと青くんと一緒にいたかったし、冬淹と3人で平凡に暮らしていたかったな』

水『青くんとハグ…とかキス……とか全然出来なかったし……////』

水『あーもう！ビデオだからって恥ずかしいこと言った！！本当に冬淹に見せてないよね！？ 』

冬淹「残念見てまーすw」

青「水の可愛ええとこ見られたくなかったなぁw」

水『とにかく！！これからもたっくさん長生きしてね！僕が冬淹の成長した姿を見れなかった分たくさん見てきていつか聞かせてよ！！』

水『……それじゃ、またね』プツッ

冬淹「…母さん、めっちゃ元気なんだなw」

青「やろ？w」

冬淹「母さんの声聞けてよかった。ずっと手紙書いてくれてありがとう」

冬淹「俺、頑張って彼女つくるわ」

青「おっ、頑張れよ。いい人みつけてこい」

冬淹「おう！」

水。冬淹は立派に育ったで。

俺がそっちに行くまでもう少し待っとってな。