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12 - 最終回 「命の先で、また会おう」

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2025年08月04日

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数年後……春の風がまた、やわらかく吹いていた。

海辺の静かな町にある、小さな保育園。

その園庭で、子どもたちの笑い声が響いている。

〔せんせーい!みて~!お花さん、咲いたよ!〕

「あっ、本当だ!すっごく綺麗だね!」

笑顔でしゃがみ込んだ女性……

名前は灯。

かつて心臓病を患い、命の境目で生きていた女性。

あの日、晶哉の心臓を受け取り、彼の“生きたかった未来”を、今、確かに生きている。


教室に戻ると、棚の上に小さな写真立てが置かれている。

そこには、若き日の病院の屋上で灯と晶哉が並んで笑っている一枚。

それを見つめて、灯はつぶやく。

「晶哉……今日もあなたの心音で、子どもたちの声が聞こえてるよ」

彼の命は終わったわけじゃない。

形を変えて、生きている。

灯の中に、言葉の記憶に、あの手紙に、そして、あの春の日に吹いた風の中に。


その夜。

灯は、机に向かいながら、久しぶりに手紙を書いていた。


晶哉へ

あなたと出会って、別れて、それでも前を向いて……今、私は自分の人生を歩いています。

まだあなたのことを思い出して泣く夜もあるよ。

でもそのたびに、あなたの鼓動に背中を押されてる。

あなたが私に託してくれた命、ちゃんと“生きてる”って言えるよ。

今度また、夢の中でもいいから、会えたらいいな。

そしたら……

「ねえ晶哉、私、今日も笑えたよ」って伝えるから。

大好きなあなたへ

灯より


窓の外では、夜風がそっとカーテンを揺らす。

静かなその音に、どこか懐かしい鼓動が重なる気がした。

灯は笑った。

あの日と同じように。

……命の先で、また会おう。

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コメント

1

ユーザー

号泣(இдஇ; )やばい……。

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