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「はじめまして、風間です。マスターと呼んでください」
「あ、はじめまして……中西直美です」
「女の子、可愛いね。名前は?」
「亜優です」
「亜優ちゃん。ちょっと待ってね」
そう言ったマスターは、カウンターの向こうの壁にかかった受話器を取ると、すぐに元に戻した。
すると、ドドドドドッ……階段を降りる足音がして
「こんにちは~いらっしゃいませ」
とショートカットの女性がカウンターの中に立った。
「妻のアキです」
マスターの紹介にアキさんは
「お子さん、小学校入学ですよね?うち、ひとつ下の子がいるんですよ。今、上でアニメ観ていますけど、よかったら一緒に上で遊んで。なにチャンかな?」
と私と亜優を見た。
「亜優です」
上で遊んで……って、ご自宅ってことよね?
いいのかな?
「亜優、上に友達いるって。行ってこい」
「……ともだち?」
夫の言うことも、初めての場所も、亜優が理解するのは難しい。
「上にね、おばちゃんの子どもがいるの。サエっていう女の子だよ。今、プリンセス観ているけど、亜優ちゃんも来る?」
「いくっ!」
「……亜優、サエちゃんと仲良くね」
「はーいっ」
「すみません……お願いします」
想定外に亜優はマスターのご自宅へお邪魔し、私と夫は並んでカウンター席に座った。
「直美、ここでカウンター内の仕事な」
どうしてハルくんが、仕事内容まで真っ先に言うのだろう?
私が返事に困っていると、コーヒーをドリップしながら
「亜優ちゃんの学校の時間、都合よく来てくれたらいい。アキもいろいろと忙しくて、数時間前ここを手伝ってもらえると助かるから」
とマスターが言う。