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フェリーの中。
観光客たちはスマホで写真を撮ったり、売店で鬼ヶ島グッズを買ったりしている。
だが桃太楼は、客席でうなだれていた。
「……いや、ほんとに俺、鬼退治とかできる気しねえんだけど」
横で犬のケンケンが笑う。
「大丈夫っすよ! 鬼っていっても観光客相手に着ぐるみで踊ってる奴らっしょ?」
「そう願いたいな……」
そんな中、猿のモンキーがスマホを掲げた。
「おーい! 知恵袋で“鬼を倒す方法“検索したら色々出てきたぞ!」
画面には真剣なのかネタなのか分からない回答が並んでいた。
『豆をぶつければいいです』
『イワシの頭とヒイラギを飾りましょう』
『Wi-Fiを遮断すれば一撃です』
『課金すれば倒せます』
「課金ってなんだよ……」
「いやでも、鬼ヶ島の電波遮断したら結構効きそうじゃない?」
「もはや妖怪じゃなくてネット民じゃねえか」
キジの紀子は冷静にメモを取っていた。
「情報は多ければ多いほどいいんです。何が効くか分かりませんし」
「え、マジでやる気なんだな……」
桃太楼は思った。
俺以外全員ノリノリじゃねえか。